QRコード決済、現金の代わりとなるか

QRコード決済、現金の代わりとなるか
2017年06月27日 00時00分 公開
QRコード決済、現金の代わりとなるか


国際決済において大手のVisaは、スマートフォンのカメラで読み込むために設計されたQRコードを、首都プノンペンの小売店などで新たな決済方法として導入すると発表した。
 
同社の広報担当者によると、同社はカンボジアと世界10カ国でmVisa(Visaが提供するQRコード決済の名称)を開始する準備を進めており、今回の新たな決済方法は今後数ヶ月で、Visa加盟銀行を通じて販売店や消費者の間で利用可能になるという。
 
また同氏は、「Viza加盟銀行側は、今年の第三四半期にはこのサービスを開始できることを期待している」と述べた。
 
2月初め、mVisaの記者会見において、このデジタル決済サービスを活用することで、小売店は高価なPOS(Point of Sales)を導入することなく、カメラ付きスマートフォンさえあれば支払いを受け付けることが可能となる、との発表があった。
 
mVisaを利用することによって、消費者は支払いと自身の口座を安全にリンクさせることができる。
 
その結果、携帯電話を使ったキャッシュレス購入や、遠隔地での支払い、さらにはVisaデビット、クレジットカード、またプリペイド口座から安全に友達や家族に送金することが可能となる。
 
mVisaはカンボジアで拡大中のQR決済の新たな選択肢となるだろう。
 

このQR決済にはカンボジア最大の商業銀行であるアクレダ銀行によって作られたアプリケーションや、最新のデジタル決済スマートフォンアプリであるPi Payが含まれている。
 
もともと日本の自動車業界のアプリケーション向けに設計されたQRコードは、商品追跡から広告およびデジタル決済に至るまで、幅広く使用されてきている。
 
新興市場コンサルティングの責任者であるデビット・トッテン氏は、普及するにあたってインフラの低コストと、カンボジアにおけるスマートフォンの急速な普及のため、この技術はカンボジアで広く利用される可能性があると述べた。
 
しかし、QRコード決済の課題は、現金取引の傾向が強い地元の商人や消費者にデジタル決済を利用するメリットを理解させられるかどうかだ。
 
「QRコード決済システムは、従来のキャッシュレス決済と同じ利点を持っている。現金と比較して取引が高速であり、安全かつ安価な方法である。しかし、顧客が利用するかどうかは重要な問題だ。取引においてキャッシュレスを好むか否かは顧客次第だからである。」
 

すでにQRコード決済システムを採用していた先進国の多くは、近距離通信などを利用した先進的な決済技術に移行しており、消費者は電話機をPOS端末にタップするだけで購入することが可能であるという。しかし、その為のチップベースの技術は高価であり、カンボジア市場にはあまり適さないと言えるだろう。
 
「NFC(近距離通信技術)のような代替技術と比較すると、カンボジアにおけるレーザープリンターなどで使われる光走査装置の普及に伴い、QRコードを利用することはより身近になっており、システムを実施するにあたって、総額のコストを低下させることができる。」と同氏は述べた。

 
ABA銀行のデジタル部長であるゾキール・ラスロフ氏は、同氏の銀行は現在、他市場でのQRコードの使用状況を調査しており、QR決済を採用するかどうかについては未定であると述べた。
 
なぜならば、カンボジアの消費者が決済にQRコードを使用するための準備はできているが、この決済方法を浸透させるためには、小規模企業にとって財政的に実行可能な低予算が望ましいからである。
 
「これらキャッシュレス決済が従来のカード決済に取って代わるものであるか、また現金決済の新たな選択として普及するのか、それとも全く普及しないのかを予測するのには時期尚早である。」と述べた。
 
また同氏は、「しかし、私の意見としては、カンボジアの消費者が新たな決済方法を利用する可能性は高いと考えている。しかし、VisaやMasterCardなどの銀行やその他の決済会社によって課せられた新たな取引方法に対し、不安を抱える商人が受け入れるかどうかは分からない。」と述べた。
 

ドミノピザ、ロッテリア、トゥ・レ・ジュールズベーカリーなどのフード・フランチャイズを経営しているCBM株式会社の総監督であるチー・シラー氏は、Pi Payと提携して、数箇所のレストランでQRコードを含む様々な形態のモバイル・デジタル決済を提供していくと語った。同氏はモバイル・デジタル決済の採用率を向上させるためには、消費者がその技術やメリットを理解することが重要であると指摘した。
 
「QRコード決済は非常に便利だが、ダウンロードや使い方を理解し、どのようにお金をチャージするのかを人々が知っていなければならない。また、この決済を利用する人には割引などを行い、お金を節約するためにこの決済を利用する、というように消費者にとって分かりやすいメリットが必要である。それはビジネス面からみて重要なポイントだ。」と同氏は述べた。

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