カンボジア、キャッサバの価格が急落

カンボジア、キャッサバの価格が急落
2017年06月26日 00時00分 公開
カンボジア、キャッサバの価格が急落


カンボジアのキャッサバ価格が今月に入り急落し、小規模農家は収益性の高い作物へすぐには切り替えができないため、大きな損失を取り戻すことができなかった。
 

12月から4月にかけての収穫期の始め頃、キャッサバは1キロ当たり約144リエル($ 0.035)という低価格となった。
 
この歴史的な価格急落を受けて、農家は作物の収穫延期を決定した。
 
今月初めには1キロあたり108リエル($ 0.026)であったと、パイリン地域の農業省職員ソイ・ソパス氏は語った。
 
キャッサバ1キロあたり180リエル($ 0.044)という価格破壊によって大きな痛手を受けた農家は、今まで以上に追い込まれている。
 
「この価格は、すでに損益分岐点にあったシーズン初めよりもはるかに悪いものであり、利益の損失をもたらしている」と同氏は述べ、市場価格は2014年の30%に下落していると付け加えた。
 
乾燥したキャッサバの価格は、2014年は720リエル(0.176ドル)であったが、現在は360〜420リエル(0.088〜0.102ドル)に下落している。
 
キャッサバは、地元民にはほとんど消費されない作物であるが、水と肥料が少量で栽培でき、他の作物より病気にかかりにくいため、カンボジアの農業の収益源だと考えらえている。
 
カンボジアの農民がキャッサバへの依存から離れるよう様々な対策がとられたものの、現在もその栽培量は拡大し続けている。
 
「キャッサバの栽培は難しくないため、農家は栽培を続けるだろう。また、来シーズンは価格が上昇する可能性がある」
 

しかし、農家の90%がキャッサバ栽培に関わっており、キャッサバの名産地であるパイリン地域では、価格の下落によって栽培量が減少しているという。
 
ソパス氏によると、今期の同州のキャッサバ栽培量は前年比で20%減少した。
 
農家は収益性の高い他の作物に目を向け始めたため、更なる減少が見込まれていると同氏は語った。
 


パイリンで7ヘクタールの土地を所有しているキャッサバ農家のハット・ケアン氏は、今年120トンのキャッサバを収穫したが、大きな損失を受けたと語った。
 
「キャッサバ農家は、十分な市場価格を保証するために誰も助けてくれないため、大きなリスクにさらされている」と同氏は語った。

「私の地域の一部の農家は、農業を続ける十分な資金がなくなったため、他国に移住することに決めた」
 

ケアン氏は、2ヘクタールの土地でマンゴー収穫を行い、失われた収入の一部を取り戻そうとしていると語った。
 
農業省のヘアン・ヴァンハン国務次官補佐、価格の大幅な下落は認識しているものの、収穫されたキャッサバは輸出品でありカンボジア国内で消費される訳ではないため、その価格の責任は商業省にあり、農業省は農家に対して何の保証もできないと語った。
 
「キャッサバの価格が大幅に下落したことはわかっている。カンボジアの作物消費は他の国に依存しているため、状況をさらに悪化させている」
 
「市場への参入状況を改善することは商業省が管轄しているため、農業省はこの問題に対応することはできない」
 

しかし、商業省報道官ソエン・ソファリー氏は、農家がキャッサバ栽培に時間をかけ海外の需要に対応できるように農業省と農家が協力して情報を収集・共有して、価格傾向を研究することが必要だと述べた。
 
「農家と農業関係者が協力し、適切な耕作時期を知るために賢く働いていれば、大きな損失が生まれることはない」と同氏は語った。
 
「キャッサバに価値を加えるためには、より良い品質基準と、それを工場で処理する専門知識が必要だ」と付け加えた。
 

農業省のデータによると、キャッサバの総栽培量は2016年末までに684,070ヘクタールに増加し、今年は697,751ヘクタールに達する見込みだという。

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