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<写真:Khmer Times>
カンボジア政府は国内におけるオンライン詐欺拠点に少なくとも17カ国以上の外国人が関与しているとの見解を示した。国家人身取引対策委員会(NCCT)常任副委員長であり、内務省国務長官を務めるチョウ・ブンエン氏が3月12日、記者団に対して明らかにした。
同氏によれば、詐欺組織は主に中国およびベトナムを拠点とする犯罪シンジケートが主導し、スリランカやインドを含む多国籍の人材を勧誘して詐欺業務に従事させている。摘発のたびに、中国人を中心に多数の外国人が関与している実態が浮き彫りになっているという。
これらの発言は、カンボジアとフィリピンでの越境人身取引被害者を支援する新プロジェクトの発足式においてなされた。同プロジェクトは、被害者に対する包括的な支援体制の構築を目的としている。
摘発された詐欺事件の多くは中国人およびベトナム人によるものであり、他国籍者を加えることで組織の拡大を図っているとされる。ただしブンエン氏は「カンボジア政府として特定の国を非難する意図はなく、これは国際的な問題であり、各国が連携して取り組む必要がある」と強調した。
詐欺組織の首謀者に関しては「活動が分散しており全容把握は困難である」との見解を示した。そのうえで「現在摘発されているのは現場で活動する実行犯が中心であり、組織の中枢にいる首謀者の特定や逮捕には至っていない」と述べた。
政府はオンライン詐欺の根絶を最優先課題と位置づけ、詐欺拠点の壊滅に向けた対応を強化している。ブンエン氏は「詐欺犯罪は急速に拡大しており、対策が遅れればさらなる被害の拡大を招く」と警鐘を鳴らした。
また、被疑者の一時拘束を巡っては一部で人権侵害の指摘も出ているが、同氏は「関係国の大使館と緊密に連携し、送還手続きを迅速に進めている」と説明した。
発足式には英国のドミニク・ウィリアムズ駐カンボジア大使も出席し、「人身取引とオンライン詐欺は、社会的・経済的に深刻な影響を及ぼしている」と懸念を示した。被害者の多くは性的搾取や精神的外傷に長期間苦しみ、社会復帰には時間と支援を要するという。
オンライン詐欺は東南アジア各国に広がっており、特にカンボジア、タイ、ラオス、ミャンマーは国際的にも「ホットスポット」として認識されている。直近では、モンドルキリ州で摘発された詐欺拠点において、258人の外国人が関与していた。拘束されたのは中国人247人、ミャンマー人9人、マレーシア人1人、ベトナム人1人であった。
カンボジア政府はこれを受け、フン・マネット首相を議長とする「オンライン詐欺対策委員会」を新設。詐欺防止および摘発に向けた戦略の策定と、国内外の連携強化を担当する。
カンボジア民主主義研究所(CID)のパ・チャンロエウン所長は「詐欺拠点は日々増加しており、現在の法執行体制では対応が追いついていない」と警鐘を鳴らした。そのうえで「国際的な信頼を確保するためには、より積極的かつ継続的な対策が求められる」と訴えた。
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