カンボジア経済、2025年は減速も製造業が下支え

カンボジア経済、2025年は減速も製造業が下支え
2026年04月01日(水)00時00分 公開
カンボジア経済、2025年は減速も製造業が下支え

<写真:khmertimeskh.com>

 

カンボジア国立銀行が公表した2025年版「金融安定性レビュー」によると、同国の2025年の実質経済成長率は5.0%となり、2024年の6.0%から減速した。米国の相互関税導入前の駆け込み輸出により年前半は堅調に推移したが、後半は世界経済の不透明感に加え、タイとの国境紛争が重荷となった。

 

報告書は、マクロ経済の基礎条件はおおむね安定しているものの、地政学的緊張や対外環境の悪化、経済構造の脆弱さが成長の勢いを抑えたと分析している。なかでも、2025年5月に始まり、7月と12月に衝突が拡大したタイ国境地帯の混乱は、越境貿易や観光、人の往来、送金に打撃を与え、国境に接する7州の経済活動を下押しした。

 

産業別にみると、製造業は引き続き成長を支える役割を果たし、2025年は8.5%増となった。ただし、2024年の11.6%増からは鈍化している。主力の縫製品・履物・旅行用品は7.1%増にとどまり、前年の15.8%増から伸びが大きく縮小した。一方、非縫製分野は10.1%増となり、前年の6.9%増を上回った。これは、産業基盤の多様化が徐々に進みつつあることを示している。

 

観光関連では、宿泊・飲食部門が5.6%増となったものの、2024年の12.2%増からは減速した。回復水準は新型コロナウイルス禍前の86.1%にとどまっている。航空便で到着する高額消費型の旅行者や国内観光の持ち直しが下支えしたが、陸路での入国者減少を補うまでには至らなかった。

 

農業は0.9%増と小幅な伸びにとどまり、生産性向上の遅れや気候変動、市況変動への脆弱さが重荷となった。建設業と不動産業も低迷が続き、それぞれ2019年比で88%、84%の水準にとどまっている。投資家心理の慎重化と需要の弱さが、こうした停滞の背景にある。

 

もっとも、物価と資本流入は一定の安定を保った。2025年のインフレ率は2.5%と、2024年の0.8%から上昇したが、なお低水準に抑えられている。対内直接投資は16%増の51億ドルとなり、このうち製造業向けが53%増の35億ドルと、全体の68.1%を占めた。

 

今後の課題として報告書は、輸出品目の偏りによる外需依存、金融の高いドル化、家計債務、不動産市場の弱さを挙げている。カムテック大学の中国ASEAN研究センター副所長トン・メンダビッド氏は、イラン、イスラエル、米国を巡る軍事的緊張が原油高と供給網の混乱を招き、輸出主導型のカンボジア経済に追加の圧力をかけていると指摘した。2026年に向けては、投資家心理の回復、低付加価値製造業への依存低減、税制改革や構造改革の推進が、成長持続の鍵になるとの見方を示している。

 

 

 

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