送金激減と失業拡大、国境紛争が90万人の生活を崩した現実

送金激減と失業拡大、国境紛争が90万人の生活を崩した現実
2026年04月22日(水)00時00分 公開
送金激減と失業拡大、国境紛争が90万人の生活を崩した現実

<写真:khmertimeskh.com>

 

国連の報告書は、カンボジアとタイの国境紛争が社会経済に深刻な影響を及ぼし、大規模な避難と所得減少、雇用悪化を招いたと指摘した。

 

報告書「カンボジア・タイ国境紛争の社会経済的影響評価」によると、2025年12月のピーク時には64万4000人以上が避難し、約34万7000人が仮設施設に移動、約30万人が地域住民に受け入れられた。

 

2026年1月時点でも14万1850人が避難生活を続けており、人道危機が長期化している。戦闘により883校の学校と50以上の医療施設が閉鎖された。

 

調査では、世帯所得が大幅に減少し、国内避難民は34%、帰還者は49%の減収となった。タイからの帰還者の半数以上が失業状態にあり、非就業率が急増した。

 

農業世帯では最大42.7%の収穫減が確認され、農産物価格の低下や生産コストの上昇、市場アクセスの制限が影響した。

 

避難地では清潔な水や衛生設備へのアクセスにばらつきがあり、過密状態や不十分な施設が報告された。

 

教育も大きく混乱し、20万人以上の学習者に影響が及んだほか、避難民の85.8%が精神的健康に大きな影響を受けたと回答した。

 

貿易面では、対タイ輸出が13.5%減、輸入が12.7%減となり、燃料や肥料の取引減少が寄与した。

 

商人は供給網維持のためベトナムや中国への代替調達を進めた。観光では国際到着者数が前年比11.6%減少し、2025年の観光収入見通しは8億5500万ドル下方修正された。

 

農産物輸出もキャッサバやトウモロコシ、果物で損失が拡大し、食品・農業輸出は2024年比で1億5600万ドル減と見込まれる。

 

さらに、約90万人の出稼ぎ労働者がタイから帰還したことで送金が急減し、世帯当たり年間送金額は2,194ドルから110ドルに落ち込んだ。帰還者の約38%が失業し、平均月収は200ドルへ半減した。多くの世帯が雇用や食料、現金支援を緊急課題とし、67.7%が雇用確保を最優先とした。

 

国連は、生計回復や技能訓練、避難民と帰還者への重点支援を柱とする早期復興策を提言し、統合的な再定住支援がなければ経済的負担と社会的脆弱性が長期化する恐れがあると強調した。

 

カンボジア記録センターの人権専門家ソー・ファリナ氏は、国連の実証的調査が紛争体験の実態を明らかにする上で重要だと指摘する。

 

バンテアイメアンチェイ州では、避難民が仮設住宅に移される一方、生活基盤の確保が課題となっているが、一部では食料や衣料の販売などで生計を立てる動きも見られるという。

 

同氏によると、2025年7月24日の衝突で避難した人々の中にはタイからの帰還労働者も含まれ、新たな環境への適応が進んでいる。

 

将来的な定住を考える者と帰郷を望む者が混在する中、その生活は紛争の影響の大きさを示しているとした。

 

 

 

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