カンボジア・タイ国境紛争、オンライン敵対感情の実態

カンボジア・タイ国境紛争、オンライン敵対感情の実態
2026年03月23日(月)00時00分 公開
カンボジア・タイ国境紛争、オンライン敵対感情の実態

<写真:khmertimeskh.com>

 

カンボジアとタイの国境紛争に先立ち、両国民の間でオンライン上の敵対感情が急激に高まっていたことが、最新の研究によって明らかとなった。

 

SNS上では歴史認識や文化、国家アイデンティティを巡る論争が活発化し、武力衝突以前から相互不信が深まっていたと指摘されている。

 

この研究は2024年に開始され、両国の参加者101人を対象に、一般市民自身が対話を記録する手法が採用された。

 

その結果、Facebook、X、TikTok、YouTubeといったプラットフォームが対立の「デジタル空間」と化し、感情的な応酬が急速に拡散していた実態が浮き彫りとなった。

 

カンボジア側の参加者には「傷つけられた」「軽視された」と感じる傾向が強く見られたのに対し、タイ側では「無関心」や「苛立ち」といった反応が多く確認された。

 

これらの感情の蓄積は相手への理解を阻害し、2025年7月に発生した国境での武力衝突時には、すでに相手を敵視する心理的土壌が形成されていたと分析されている。

 

さらに研究では、敵対的な投稿に積極的に関与する「デジタル過剰関与」と、議論を避ける「デジタル無関心」という2つの傾向が確認された。

 

前者はナショナリズムの強化を招き、後者は偏見や不満を温存させる要因となるとされる。

 

また、SNS上の対立は単なる言論空間にとどまらず、現実の社会関係にも影響を及ぼしていた。

 

2025年にはタイ国内で「クメール人を雇うな」と呼びかける投稿が問題となり、多くのカンボジア人労働者が帰国を余儀なくされる事態も発生している。

 

カンボジア情報省によれば、同年に確認された虚偽情報は約4000件に上り、そのうち約1700件が国境問題に関連していた。

 

また、AI生成コンテンツも50件以上確認されており、誤情報の拡散が緊張を一層高めたとされる。

 

専門家は、SNS上の敵対行動を周辺的な問題とみなすべきではないと警告している。

 

日常的に繰り返される攻撃的な言説が認識や態度を形成し、社会全体の分断を強化するためである。

 

そのうえで、若者を中心とした対話の促進やデジタルリテラシーの向上、責任ある情報発信の重要性が強調されている。

 

国境を越えた関係改善には外交交渉だけでなく、日常的なオンライン上での相互理解が不可欠であると結論づけられている。

 

 

 

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