カンボジア経済、成長率を4.0％に下方修正

＜写真：Khmer Times＞

世界銀行は6月に公表した「カンボジア経済アップデート」において、同国の2025年の実質GDP成長率を4.0％と予測し、従来の見通しである5.5％から大幅に下方修正した。

2026年についても4.5％にとどまる見込みであり、経済回復のペースが緩やかに推移すると分析している。

報告書によれば、輸出主導の製造業や観光業には一定の回復が見られるものの、国内投資の伸び悩みや不動産市場の低迷が足かせとなり、全体としての成長は鈍化傾向にある。

特に縫製、旅行用品、履物、自転車といった労働集約型の輸出産業が、対外需要の減速や貿易政策の不透明性といった構造的課題に直面している。

2025年第1四半期には、対米および対EU輸出が前年同期比で11.6％増加したほか、国際観光客も16.1％増となるなど、外需の一部に回復の兆しが見られた。

ただし、観光客数は依然として新型コロナウイルス流行前の水準には至っていない。

一方で、消費者信頼感の改善を背景に、食品、衣料品、車両といった輸入品目の需要が拡大し、個人消費が経済の下支えとなっている。

家計消費は2021年から2023年の間に一人当たりで8％増加したが、最貧層では7％の増加にとどまり、最富裕層では10％の伸びを記録するなど、所得格差の拡大が鮮明となった。

農業分野は2021年以降、年平均成長率1％という低水準にとどまり、地方の雇用や所得に影響を及ぼしている。

世界銀行カンボジア事務所のタニア・マイヤー代表は「持続的な経済成長の実現には、建設業や繊維業への過度な依存から脱却し、高付加価値の製造業やサービス業への転換が不可欠である」と述べ、財政改革を通じた人的資本およびインフラへの投資強化を提言した。

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