カンボジアの道路は日本とはかなり異なっています。カンボジアで生活される予定の方は特にカンボジアの道路事情について気になりますよね。「道路交通法はどうなっているの? 」「日本が昔カンボジアにPKOを派遣して色々な援助をしていたけど、道路も日本が作ったの? 」というような疑問をお持ちの方のために、カンボジアの道路について詳しく解説します。
バイクに乗るのに免許は必要ないというのがカンボジアの現状です。2016年、フン・セン首相はFacebook上に「gift for the people」というタイトルで、「125CC以下のバイクの運転には免許は必要なし」という声明を投稿しました。
そのため、私たち日本人も無免許でバイクを運転することができます。そもそも国際免許を認識している警察官がほとんどいないようです。教習所のような場所での指導がないため、市民の運転マナーはとてもひどく、「信号無視」「一方通行の逆走」「スピード違反」「割り込み」なんて日常茶飯事です。
交通ルールがあまり無いとはいっても、政府は交通事故削減のために警察官を配置し、取り締まりはしています。免許制度がないため、警察官は交通ルールの違反者を見つけても日本のように切符を切ることができません。その代わりに違反者からとるのはお金です。金額は相場としては5ドル前後ですが、警察官の気分などによって異なります。特に意味なく長く世間話を聞かされ時間を奪われることもあるので、ヘルメットの着用や一方通行の遵守など、バイクを運転するときは交通規則をしっかり守りましょう。
カンボジアには交通法がほとんどないものの、道路標識は存在します。バイクを運転する人にとって一番身近なのが、Uターン禁止の標識です。Uターンは交通事故を誘発するとされているため、日本同様カンボジアでも禁止されているところが多いです。大通りではUターンをした方が目的地に早く着けることが多いと思いますが、警察が目を光らせていると罰金をとられますので注意してください。
また、駐車禁止の道路標識などはありません。しかし、標識がない場所でも路上駐車を長時間するとバイクを警察署に持って行かれてしまうこともあります。その際、警察官に外国人だと思われてしまうと、バイクを取り戻すのに相場で25ドルくらいとられてしまいます。カンボジア人の助けを借りれば10ドル程度です。
見張りの人がいるレストラン前などに駐めればバイクが持っていかれることはないので安心してください。ちなみに、警察の労働時間は日中だけです。そのため、交通法違反等の取り締まりに関して、警察に夜に捕まることは基本的にはありません。
カンボジアの道は非常にデコボコです。道路整備状態はまだまだです。首都プノンペンの目抜き通りであっても、道が深く凹んでいたり、出っ張っていることがしばしばです。バイクを運転する際には、速いスピードで出っ張りにあたると転倒する可能性があるので注意が必要です。首都プノンペンであれば道路が舗装されていないところは少ないですが、道路状況は決して良くないのが現状です。
「カンボジアの道路を日本が作った」と聞いたことのある方もいるのではないですか? カンボジアに対する日本の援助は、1992年のパリ和平協定の調印後に本格的に始まりました。当時はPKO(平和維持活動)の一環として、国際社会から様々な援助がカンボジアに与えられていました。
カンボジアでのPKOと言えば、日本が初めて陸上自衛隊を海外派遣したとして、当時大きなニュースになりました。1990年にイラクがクェートに侵攻したことをきっかけに発生した湾岸戦争の際、日本は多国籍軍に加わらずに金銭面だけで莫大な資金援助をしました。湾岸戦争の全戦争費用の約2割を日本が負担し、資金援助額は世界で一番多かったのです。
しかし、当時の国際社会は日本が軍隊を派遣しなかったことに対し、「血を全く流さなかった」と批判を浴びせました。その後、日本でも世論が傾き、1992年に初めてPKOの一環として自衛隊がカンボジアに派遣されたという経緯があります。
現在、日本はカンボジアの道路建設に関して、多額の資金援助を行っています。2010年時点で日本はカンボジアに19.6億ドル(約2000億円)を援助しています。この金額はカンボジアが受けた援助額全体の約18%にあたり、日本はカンボジアにとって最大の開発援助国となっています。
日本のカンボジアへの道路援助の実績としては、「道路建設センター修復計画」や「国道6,7号線修復計画」、最近では2009年に「カンボジア国道1号線改修工事」に約75億円を無償供与しています。国道1号線とはカンボジアの首都プノンペンとベトナムのホーチミンを結ぶ道路です。道路地図を見るのが一番分かりやすいかもしれません。当時の改修工事はプノンペンからメコン河までの56キロにおよび、1800世帯以上の住居移転が伴いました。
他にも日本がカンボジアへ援助した有名なものとしては、首都プノンペンからベトナムのホーチミンに移動する際に通る「ツバサ橋」の建設が挙げられます。
当時のカンボジア政府は、カンボジアは不発弾がまだ多く残っている土地であるにも関わらず、日本人が命がけで橋を建設してくれたことに対して非常に感謝をしました。その御礼の印として、カンボジアの通貨である500リエル札には「ツバサ橋」と「日本の国旗」が印刷されています。
2016年には道路税という、バイクも含む全車両に科される税金が導入されました。また、2018年5月には、国道3号線が中国の200億円以上の融資で大規模改修がされると発表されました。この道路改修工事は2年かかるそうです。果たして今後のカンボジアの道路工事はどうなっていくのでしょうか? これからのカンボジアの道路事情に目が離せません。
※この記事に記載されている情報は2018年5月のものです。本記事に記載されている情報は予告なしに変更される場合がございますが、ご了承ください。
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バイクに乗るのに免許は必要ない?
バイクに乗るのに免許は必要ないというのがカンボジアの現状です。2016年、フン・セン首相はFacebook上に「gift for the people」というタイトルで、「125CC以下のバイクの運転には免許は必要なし」という声明を投稿しました。
そのため、私たち日本人も無免許でバイクを運転することができます。そもそも国際免許を認識している警察官がほとんどいないようです。教習所のような場所での指導がないため、市民の運転マナーはとてもひどく、「信号無視」「一方通行の逆走」「スピード違反」「割り込み」なんて日常茶飯事です。
交通ルールがあまり無いとはいっても、政府は交通事故削減のために警察官を配置し、取り締まりはしています。免許制度がないため、警察官は交通ルールの違反者を見つけても日本のように切符を切ることができません。その代わりに違反者からとるのはお金です。金額は相場としては5ドル前後ですが、警察官の気分などによって異なります。特に意味なく長く世間話を聞かされ時間を奪われることもあるので、ヘルメットの着用や一方通行の遵守など、バイクを運転するときは交通規則をしっかり守りましょう。
カンボジアの道路標識はどう?
カンボジアには交通法がほとんどないものの、道路標識は存在します。バイクを運転する人にとって一番身近なのが、Uターン禁止の標識です。Uターンは交通事故を誘発するとされているため、日本同様カンボジアでも禁止されているところが多いです。大通りではUターンをした方が目的地に早く着けることが多いと思いますが、警察が目を光らせていると罰金をとられますので注意してください。
また、駐車禁止の道路標識などはありません。しかし、標識がない場所でも路上駐車を長時間するとバイクを警察署に持って行かれてしまうこともあります。その際、警察官に外国人だと思われてしまうと、バイクを取り戻すのに相場で25ドルくらいとられてしまいます。カンボジア人の助けを借りれば10ドル程度です。
見張りの人がいるレストラン前などに駐めればバイクが持っていかれることはないので安心してください。ちなみに、警察の労働時間は日中だけです。そのため、交通法違反等の取り締まりに関して、警察に夜に捕まることは基本的にはありません。
カンボジアの地面はデコボコ?
カンボジアの道は非常にデコボコです。道路整備状態はまだまだです。首都プノンペンの目抜き通りであっても、道が深く凹んでいたり、出っ張っていることがしばしばです。バイクを運転する際には、速いスピードで出っ張りにあたると転倒する可能性があるので注意が必要です。首都プノンペンであれば道路が舗装されていないところは少ないですが、道路状況は決して良くないのが現状です。
カンボジアの道路は日本の援助で作られている!?
「カンボジアの道路を日本が作った」と聞いたことのある方もいるのではないですか? カンボジアに対する日本の援助は、1992年のパリ和平協定の調印後に本格的に始まりました。当時はPKO(平和維持活動)の一環として、国際社会から様々な援助がカンボジアに与えられていました。
カンボジアでのPKOと言えば、日本が初めて陸上自衛隊を海外派遣したとして、当時大きなニュースになりました。1990年にイラクがクェートに侵攻したことをきっかけに発生した湾岸戦争の際、日本は多国籍軍に加わらずに金銭面だけで莫大な資金援助をしました。湾岸戦争の全戦争費用の約2割を日本が負担し、資金援助額は世界で一番多かったのです。
しかし、当時の国際社会は日本が軍隊を派遣しなかったことに対し、「血を全く流さなかった」と批判を浴びせました。その後、日本でも世論が傾き、1992年に初めてPKOの一環として自衛隊がカンボジアに派遣されたという経緯があります。
現在、日本はカンボジアの道路建設に関して、多額の資金援助を行っています。2010年時点で日本はカンボジアに19.6億ドル(約2000億円)を援助しています。この金額はカンボジアが受けた援助額全体の約18%にあたり、日本はカンボジアにとって最大の開発援助国となっています。
日本のカンボジアへの道路援助の実績としては、「道路建設センター修復計画」や「国道6,7号線修復計画」、最近では2009年に「カンボジア国道1号線改修工事」に約75億円を無償供与しています。国道1号線とはカンボジアの首都プノンペンとベトナムのホーチミンを結ぶ道路です。道路地図を見るのが一番分かりやすいかもしれません。当時の改修工事はプノンペンからメコン河までの56キロにおよび、1800世帯以上の住居移転が伴いました。
他にも日本がカンボジアへ援助した有名なものとしては、首都プノンペンからベトナムのホーチミンに移動する際に通る「ツバサ橋」の建設が挙げられます。
当時のカンボジア政府は、カンボジアは不発弾がまだ多く残っている土地であるにも関わらず、日本人が命がけで橋を建設してくれたことに対して非常に感謝をしました。その御礼の印として、カンボジアの通貨である500リエル札には「ツバサ橋」と「日本の国旗」が印刷されています。
まとめ
2016年には道路税という、バイクも含む全車両に科される税金が導入されました。また、2018年5月には、国道3号線が中国の200億円以上の融資で大規模改修がされると発表されました。この道路改修工事は2年かかるそうです。果たして今後のカンボジアの道路工事はどうなっていくのでしょうか? これからのカンボジアの道路事情に目が離せません。
※この記事に記載されている情報は2018年5月のものです。本記事に記載されている情報は予告なしに変更される場合がございますが、ご了承ください。
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