カンボジアの対米輸出25%増、関税引き下げ効果と課題

カンボジアの対米輸出25%増、関税引き下げ効果と課題
2025年08月14日(本日)00時00分 公開
カンボジアの対米輸出25%増、関税引き下げ効果と課題

<写真:khmertimeskh.com>

 

カンボジアの対米輸出は2025年1〜7月に前年同期比25%以上増加し、約69億2000万ドルに達した。カンボジア税関総局(GDCE)の統計によれば、同期間の対米輸入額も約2億100万ドルと、前年同期比30%を超える伸びを示した。

 

主要な輸出品目は衣料品、旅行用品、自転車、アクセサリーなどの消費財であり、輸入品目には自動車、機械、宝飾品、化粧品、電気・電子機器が含まれる。

 

フン・マネット首相の主導による関税交渉の結果、米国はカンボジア製品に課していた関税を49%から19%へ引き下げ、カンボジアも米国製品への関税を撤廃した。この新制度は8月1日に発効し、二国間貿易のさらなる拡大が見込まれている。

 

しかし、政府・民間合同フォーラムの共同議長アルノー・ダルク氏は、19%という新関税率は周辺国と同等であるものの、最恵国待遇(MFN)の関税16〜20%が加わることで、実質的な輸入コストは35〜39%に達すると指摘した。

 

その結果、無関税アクセスを持つケニア(AGOA)やホンジュラス(CAFTA-DR)と比べ、30〜40ポイントの価格競争力格差が生じ、輸出競争力を著しく損なう恐れがあると警鐘を鳴らした。

 

さらに、米大統領令14257号(7月31日発令)により、第3国経由での関税回避防止を目的とした40%の罰則関税が導入された。これに伴い、輸出業者や物流企業には供給履歴の厳格な証明義務が課されることとなった。

 

こうした課題に対応するため、カンボジア民間部門は電力料金引き下げ、米国向け輸出にかかる港湾使用料免除、輸出税還付、労働者再訓練補助など7項目の政策提案を政府に提出している。

 

経済学者ダリン・ダッチ氏は、今回の輸出増加を生産基盤の多様化、貿易円滑化、二国間・多国間協定を通じた市場開拓の成果と分析した。物流改善や税関手続きの簡素化、高付加価値分野への投資が輸出拡大に寄与したとの見方を示している。

 

同氏はまた、対米貿易黒字は発展途上国にとって自然な現象であり、教育やグリーンエネルギー分野での協力拡大の契機とすべきだと述べた。

 

カンボジアの輸出先は米国に限らず、中国、日本、カナダ、ベトナムなど多岐にわたり、農産品、電子機器、加工食品なども含まれる。

 

ダッチ氏は、グローバル経済の不確実性が続く中で、中小企業支援、デジタル貿易基盤整備、人材育成、地域連携強化を通じ、貿易の強靭性を高める必要があると強調した。

 

 

 

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