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<写真:khmertimeskh.com>
カンボジアとタイの間で、インターネット上における中傷や侮辱の応酬が激しさを増している。
近年、自然災害や犯罪事件を契機として、双方の市民がSNS上で相手国を嘲笑・批判する事例が急増しており、専門家からは両国の国民感情および社会的連帯の劣化に対する懸念の声が上がっている。
最近では、タイ国内で発生した陥没事故や洪水、またカンボジアにおけるオンライン詐欺問題をめぐり、両国のネットユーザー同士による挑発的な発言が相次いだ。
特にFacebookなどの大手SNSプラットフォーム上では、過去の歴史的対立を引き合いに出し、相手国を貶める投稿が拡散されている。
カンボジア民主主義研究所のパー・チャンルーン所長は「インターネットは両国の対立が再燃する新たな戦場となっている」と指摘し、「災害時に他国を嘲笑する行為は、共感力や倫理観の欠如を浮き彫りにしている」と警鐘を鳴らしている。
また、カンボジア在住の心理カウンセラーであるロバート・エスピアウ氏は、SNSが無意識の感情反応を増幅させる「心理的操作の道具」と化していると分析し、「ユーザーは自覚のないまま、他者を傷つける発言や行動を繰り返している」と述べている。
両国間には、国境地帯にあるプレア・ヴィヒア寺院を巡る領有権問題など、歴史的経緯に基づく長年の紛争が存在する。
こうした未解決の感情は、災害や政治的混乱といった不安定要因を背景に再燃し、ネット空間においてその形を変えて表出する傾向が強まっている。
専門家らは、憎悪の拡散を抑制する手段として、教育の充実、デジタルリテラシーの向上、SNSプラットフォームの適切な監視体制の構築が急務であると訴えている。
また、ネット空間そのものを国際関係の安定に寄与する平和構築の一環として捉える視点が、今後の社会において重要になるとの認識が広がっている。
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