タイとの国境紛争、プレアヴィヒア寺院をめぐる主張

タイとの国境紛争、プレアヴィヒア寺院をめぐる主張
2025年09月11日(木)00時00分 公開
タイとの国境紛争、プレアヴィヒア寺院をめぐる主張

<写真:khmertimeskh.com>

 

タイとカンボジアの間で2025年7月下旬に発生した軍事衝突は、世界遺産であるプレアヴィヒア寺院周辺に深刻な影響を及ぼしている。両国は互いに非難を繰り返し、真実の所在については依然として対立が続いている。

 

タイ王軍は、プレアヴィヒア寺院への砲撃や攻撃を完全に否定している。軍のスポークスマンは、「寺院に向けていかなる軍事作戦も行っていない」と明言し、攻撃対象はあくまでカンボジア軍であり、文化財に矛先を向けた事実はないと主張している。

 

また、タイ側は、カンボジア軍がタイ領内にある寺院(タ・モアン・トムやタ・クラベイなど)に対し攻撃を仕掛けていると反論し、自国の行動は国際法および人道原則に則っていると訴えている。

 

これに対し、カンボジア文化芸術省は、7月24日のタイ軍による攻撃により、プレアヴィヒア寺院の構造および周辺地域に甚大な損害が生じたと発表した。さらに、防衛省関係者は、タイ軍がクラスター爆弾を使用した可能性があると指摘し、これは国際条約に明確に反する行為であると非難している。

 

白リン弾については、タイ側がその使用を認めつつも「化学兵器には該当せず、軍事目標のみに使用した」と釈明しており、合法性をめぐる議論が続いている。

 

カンボジア政府はこの事態を受けて、UNESCOおよび関連する国際機関に対し、被害の調査と文化財保護のための介入を求めている。特にプレアヴィヒア寺院がユネスコ世界遺産に登録されていることから、国際社会の関心も高まっており、文化財への被害が外交問題として拡大する可能性もある。

 

2025年7月24日以降、両軍はプレアヴィヒア寺院周辺を含む複数の地点で激しい衝突を繰り広げており、民間人の死傷者、学校や病院といったインフラ施設への被害も報告されている。

 

7月28日には一時的な停戦が発効されたものの、両国は相互に停戦違反を主張しており、依然として国境線を挟んだ軍の配備は継続している。国際仲介の試みも慎重に進められており、抜本的な解決には至っていない。

 

現在の状況を総括すれば、タイ側は「軍事目標への限定攻撃」と「文化財への関与否定」を軸に主張を展開している一方で、カンボジア側は「寺院への被害」と「非人道的兵器の使用」を強調し、国際社会の支援を求めている。両国ともに譲らず、信頼関係の再構築には時間を要する見通しである。

 

現時点(2025年9月10日)においては、停戦協定こそ維持されているものの、相互の非難と不信は解消されておらず、緊張状態は継続している。国際機関の関与や第三国の調停によって、今後どのような展開を迎えるかが注視されている。

 

 

 

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