カンボジア・タイ国境で緊張激化、住民退去要求に現地が猛反発

カンボジア・タイ国境で緊張激化、住民退去要求に現地が猛反発
2025年09月04日(木)00時00分 公開
カンボジア・タイ国境で緊張激化、住民退去要求に現地が猛反発

<写真:khmertimeskh.com>

 

カンボジア北西部バンテアイミエンチェイ州の国境地帯において、タイ軍が現地住民に対し退去を要求したことを受け、両国間の緊張が急速に高まっている。

 

カンボジア政府および地元住民は、これを「自国領土内への違法な侵入行為」と非難し、断固として反発の姿勢を強めている。

 

住民の中には「命を懸けて土地を守る」と語る者もおり、現地では事態が深刻化している。

 

タイ軍はオーチュロウ郡オーベイチョアン・コミューン内のプレイチャン村およびチョクチェイ村において、約200世帯が「タイ領内に不法居住している」と主張した。

 

住民に対して2か月以内の退去を命じ、8月12日と13日には合計12世帯を強制的に退去させた。村周辺には有刺鉄線が設置され、物理的な封鎖が進む中で緊張は一層高まっている。

 

この措置に対し、カンボジア国防省は「タイ軍による一方的な領有権主張は認められない」との声明を発表した。

 

カンボジア軍および国境警察が現地に展開し、住民の保護と領土の維持に努めている。

 

州知事のオウム・レアトレイ氏も「当該地域は歴史的にも法的にもカンボジア領であり、退去には応じない」と明言した。

 

国防省の発表によると、8月25日にはタイ軍が再度、有刺鉄線の設置を試みたが、住民およびカンボジア側の強い抗議により撤退を余儀なくされた。

 

両国は2000年の覚書に基づき、共同境界委員会(JBC)による平和的解決を約束していたが、今回の一連の行動はその合意を逸脱するものと見なされている。

 

既にタイ軍によって数十の農地が接収され、住民は仮設テントでの避難生活を余儀なくされている。

 

カンボジア政府は人道支援を実施するとともに、外交ルートを通じてタイ側との対話を呼びかけているが、現時点で公式な応答は得られていないという。

 

こうした中、上院副議長のトゥン・ヴァタナ氏が率いる政府代表団が現地を視察した。

 

住民を激励し、食料や生活必需品などの支援物資を配布した。視察には、米国・欧州・オーストラリアなどの国際商工会議所の関係者も同行し、国際的な関心の高まりも見られる。

 

一方、フン・マネット首相は訪中中に中国の習近平国家主席と会談している。

 

中国側はカンボジアの主権を支持し、ASEAN主導による停戦監視メカニズムの早期構築を提唱した。

 

フン・マネット首相は会談の中で「地域の安定と持続可能な発展には多国間の協調が不可欠である」との認識を示した。

 

カンボジア政府は引き続き、領土主権の確保と平和的解決の両立を目指す方針を堅持しているが、タイ側の対応次第では、さらなる対立の激化も懸念される状況にある。

 

 

 

[© poste-kh.com 2016-2025 All Rights Reserved.]
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。

ホットニュース

Choose Classified categories