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<写真:khmertimeskh.com>
国際通貨基金(IMF)の年次報告「第4条協議」によれば、カンボジア経済は2025年に前年比4.8%の成長にとどまる見通しである。
これは2024年の6%からの下方修正であり、米国による関税措置、タイとの国境紛争の長期化、国内債務の増加など複合的な外的・内的要因が背景にあるとされる。
IMF調査団は8月20日から9月2日までプノンペンで政府高官や中央銀行幹部、民間セクターと協議を重ねた。
報告書はガーメントや農産品輸出、観光回復が2024年の成長を支えたことを認めつつ、2025年以降は貿易摩擦や国境問題が外需、送金、観光収入に悪影響を与えると指摘している。
とりわけ、米国が当初49%としていたカンボジア製品への関税を19%に引き下げた点について、IMFは外交努力を評価する一方で「依然として企業収益に圧力を与える水準」であると慎重に評価している。
加えて、観光や不動産分野の融資における不良債権比率が7%を超えるなど、民間部門の過剰債務が懸念材料である。
カンボジア国立銀行(NBC)は金融監督の強化や脱ドル化の推進に取り組んでおり、IMFはこれらの措置を評価している。
一方で、財政政策については短期的なショック緩和と中長期的な財政健全化を両立させる必要があるとし、税制改革や社会保障・教育・インフラ分野への歳出配分の見直しを提言している。
政府はIMFの提言を踏まえ、国境紛争による帰還労働者や観光業影響地域への支援策を検討中であり、産業の多角化、人的資本強化、投資環境の改善に向けた取り組みを継続する方針である。
民間からは電子機器や農産加工など新興産業への期待が高まっている。
経済学者ダリン・ドゥク氏は、関税が課されてもカンボジアの低コスト生産拠点としての魅力は維持されるとし、ASEANやRCEPとの連携を活用することで競争力を保てると指摘している。
政府と民間の対話窓口であるフォーラム共同議長アルノー・ダルク氏も、短期的な財政支援と中長期の制度改革の両立、銀行部門の健全性向上、契約執行制度の強化、電子商取引の推進を通じた生産性向上の必要性を訴えている。
カンボジアは2029年の後発開発途上国(LDC)卒業を見据えており、今後数年が構造転換の正念場となる。
IMFはガバナンス改革と人的資本投資を持続的成長の鍵と位置づけ、外的ショックに依存しない強靱な経済体制の構築を強調している。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。