日本、カンボジアに「大国間での選択」を迫らず

日本、カンボジアに「大国間での選択」を迫らず
2026年03月16日(月)00時00分 公開
日本、カンボジアに「大国間での選択」を迫らず

<写真:khmertimeskh.com>

 

日本は東南アジア諸国連合(ASEAN)のインド太平洋構想を全面的に支持し、カンボジアに対して米国や中国の間で「どちらかを選ぶ」ように求めない姿勢で協力を進めていく方針である。

 

慶応大学の国際関係学者である神保謙教授が、講演およびインタビューで明らかにした。

 

神保氏は12日、プノンペンで「日本の進化するインド太平洋戦略と東南アジアへの含意」と題する講演を行った。講演はカンボジア地域研究センターと国際交流基金の共催で行われ、地域情勢の変化の中で日本の戦略と東南アジアへの影響について議論が交わされた。

 

神保氏は、2019年にASEANが策定した「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」について、米中戦略競争が激化する中で東南アジア諸国が独立性を保ちながら協力を進めるための重要な枠組みであると指摘した。日本は同構想を全面的に支持しており、この枠組みを基盤として実務的な地域協力を拡大していく考えである。

 

また、カンボジアは大陸部ASEANの重要な国であり、今後5~10年の発展戦略が地域全体に影響を及ぼす可能性があると強調した。日本は地政学的競争の観点からではなく、カンボジア自身の国家開発計画に沿う形で協力を進めていく方針である。

 

神保氏は「日本や米国、中国の間でどちらかを選ぶようカンボジアに圧力をかける考えはない。カンボジアの発展計画に沿って協力するパートナーでありたい」と述べた。

 

日本のインド太平洋戦略については、安倍晋三元首相が2016年に提唱した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想が基礎となっていると説明した。安倍政権は日米同盟の強化とともに地域連携を進め、日本外交の方向性を形作ったとしている。

 

一方で、世界情勢の変化により地域の主体的役割は一層重要になっていると指摘した。米国は依然として世界最大の大国であるものの、国内問題への関心が高まる中で、各地域が自ら安全保障や統治の課題に対応する能力を高める必要があるとの見方を示した。

 

東南アジアでは、ミャンマーの統治問題、南シナ海での中国との緊張、タイとカンボジアの国境問題など複数の課題が存在する。日本は対話の促進や調停などを通じて、地域の安定に向けた建設的な役割を果たす可能性があるとした。

 

さらに神保氏は、カンボジアのような中小国が戦略的自立性を維持するためには、複数のパートナーとの関係を多角化することが重要であると指摘した。中国の提案が競争力を持つ場合もあるが、日本やシンガポール、オーストラリア、欧州連合(EU)、米国などとの協力を併用することで、影響力の偏りを避けることができるとした。

 

日中関係については、2018年から2020年にかけて第三国でのインフラ協力などを進める「協調局面」が存在したものの、新型コロナウイルスの流行や香港情勢などの影響により、地政学的競争が再び強まったと指摘した。現在は再び競争の時代に入りつつあるが、協力の潜在的な余地は依然として残されているとの認識を示した。

 

インド太平洋地域は今後、世界経済成長の中心になると見込まれる一方、海洋安全保障や大国間競争などの課題も抱えている。日本はパートナーシップの強化、海洋安全保障能力の支援、インフラ整備などを通じて、地域の安定と繁栄を支えていく方針である。

 

 

 

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