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<写真:khmertimeskh.com>
カンボジアはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)対策において顕著な成果を上げている一方で、新規感染の発生と社会的スティグマ(差別や偏見)が依然として大きな課題となっている。国連合同エイズ計画(UNAIDS)のアドバイザー、ウン・ポリン氏が明らかにした。
同氏によれば、2024年時点の国内HIV感染者数は約7万6000人であり、同年の新規感染者は約1200人、1日当たり約3人のペースで発生している。一方で治療体制は大きく進展しており、感染者のほぼ100%が抗レトロウイルス療法を受けている。
さらに、治療を受けている人の98%以上でウイルス量が検出不能な水準に抑えられており、他者への感染リスクも大幅に低減している。
カンボジアは2017年、感染者の90%が自身の感染を把握し、その90%が治療を受け、さらにその90%がウイルス抑制を達成する「90-90-90目標」を期限より3年早く達成した。現在は、より厳格な「95-95-95目標」の達成に向けた取り組みを進めている。
感染の傾向も変化している。1990年代には一般人口に広く拡大していたが、現在では男性同性愛者、トランスジェンダー女性、娯楽産業従事者、薬物注射使用者など特定の集団に集中している。
特に若年層への影響が大きく、新規感染の約4割が15〜24歳に集中している。ただし、感染リスクは性的指向そのものではなく、無防備な性行為などの行動に起因するものであると指摘されている。
同国は1990年代後半に「100%コンドーム使用プログラム」を導入し、商業性産業における感染拡大の抑制に成功した。この取り組みはアジア各国のモデルとなった。その後は検査と治療の普及へと重点を移し、抗レトロウイルス薬の無償提供や母子感染防止策の強化などを進めてきた。
近年は予防策の高度化も進んでいる。2019年には曝露前予防(PrEP)を導入し、2025年には3カ月間効果が持続する長時間作用型注射薬や、28日間有効な膣内リングの導入が予定されている。
一方で、差別や偏見は依然として根強く、検査や治療の利用を妨げる要因となっている。家庭や職場、医療機関などにおける差別事例も報告されており、政府は教育、労働、医療分野を対象とした国家行動計画を推進している。
ポリン氏は、HIV感染リスクは特定の性的指向に結び付けて捉えるべきではないと強調し、行動に基づく正しい理解と偏見の解消が不可欠であると指摘する。感染拡大の抑制と差別の撤廃を両立できるかが、流行終結に向けた鍵となる。
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