カンボジアでは何のワクチンを打てば安全なのでしょうか? 上下水道環境、衛生環境が整備されていないカンボジアは日本での環境と異なるため様々な病気の罹患率が高くなります。狂犬病や破傷風を例として、これら病気は発症すれば死に至るものも少なくはありません。
こうした病気から身を守るために重要なのがワクチンの接種です。ワクチンは「打てば病気に罹患しない」、「発症した場合でも重篤化しない」ということを目的としています。また、ワクチンは一度打てば永久的に抗体を獲得できるというわけではなく、一度獲得した抗体でも約5年程度で抗体価が消失または低下します。しかし、追加でワクチンを接種することで抗体を再獲得することが出来ます。
今回はワクチンで予防できる病気についての基礎情報と必要予防接種回数、その費用について「サン・インターナショナル・クリニック」が解説します。
破傷風は土壌の至る所に存在している破傷風菌が傷口から体内に侵入することで感染します。カンボジアで多発しているバイク事故やひったくりによる転倒等で土壌にいる破傷風菌に傷口が曝露される可能性があります。
発症後の死亡率は成人で15%~60%、新生児は80%~90%です。破傷風の特徴的な症状は痙攣や開口障害、嚥下困難、重症例では呼吸筋の麻痺等の症状を呈します。治療法としては免疫グロブリン療法やワクチンの曝露後接種が挙げられます。
A型肝炎は汚染された飲料水や食物から感染する病気で、上下水道環境が整備されていない東南アジア、アフリカ、中南米に広く存在します。発症すると倦怠感、嘔吐などの消化器症状、肝機能低下による黄疸が症状として現れます。
A型肝炎が重篤化することは珍しく、多くは一過性の急性肝炎症状で終わり、治療後は強い免疫を獲得します。現在日本では60歳以下の人々は抗体保有率が低いということを理由にワクチン接種が推奨されています。
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを保有する蚊に刺されることによって起こる重篤な急性脳炎です。死亡率が高く、後遺症を残すことも多い病気です。流行地はカンボジアを中心に東アジア、南アジア、東南アジアです。症状としては40℃を超える高熱、下痢、嘔吐、意識障害、痙攣等が挙げられます。
一旦脳炎症状を起こすと死亡率は20~40%と高い割合で、回復した場合でも半数程度は重度の後遺症が残ります。治療薬はなく、症状に応じた対症療法が行われます。
B型肝炎は血液を介して感染し、性感染症・輸血・臓器移植・入れ墨・母子感染が主な感染経路として挙げられます。B型肝炎は一過性感染と持続性感染の2つに大別され、どちらの場合もワクチンで予防することが出来ます。
症状としては易疲労、発熱、食欲不振、黄疸等が挙げられます。治療法としては投薬療法ですが、慢性肝炎に移行しないよう適切に治療することが必要です。
腸チフスはサルモネラの一種であるチフス菌によって引き起こされ、感染源は汚染された飲料水や食物です。カンボジアをはじめとした東南アジア、中南米やアフリカなど衛生環境の整っていない地域で多発しています。
主な症状としては下痢、嘔吐、高熱、頭痛、関節痛で、重症例では腸内出血や腸穿孔、胆嚢炎や肝機能障害を伴う場合もあります。抗菌剤投薬療法と対症療法をあわせで治療していくことが有効とされています。
ワクチンの摂取回数と値段
※予防接種未経験者を基準とした必要予防接種回数を記載しています ※日本での価格は大まかな値であり、同価格とは限りません
ワクチンは抗体を獲得するために数回接種が必要なものもあります。また、幼少期にワクチンを接種していることでも接種回数は異なってきます。金額については日本で接種した場合も保険適応はなく全額自己負担です。例えば、日本では破傷風のワクチンを3回接種するのに105ドルですが当院で予防接種を行うと3回で30ドル。狂犬病の予防接種を日本で行うと360~450ドルの費用がかかるところがカンボジアでは60ドルです。日本で接種した場合とカンボジアで予防接種をした場合の価格差はひとつのワクチンに付き70~400ドル程度ということになります。
この価格差は、衛生環境が整っている日本ではこうしたワクチンの需要が低く、海外から輸入に依存していることが多いということが理由のひとつとしてあげられます。
予防接種に対する基礎知識がないことで、ワクチンの副作用を懸念して接種に至らないという方がいるのも事実です。しかし、現在のワクチンでは生きているワクチンではなく不活化ワクチンが開発され、副作用が少なく安全性の高い予防接種を行うことが出来ます。日本とは異なる衛星環境下で自身とその家族の命を守っていくためにもこうした予防策を行っていくことが重要です。
予防接種やその他健康問題に対するご質問はどうぞお気軽にご連絡下さい。
Sun International Clinic
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こうした病気から身を守るために重要なのがワクチンの接種です。ワクチンは「打てば病気に罹患しない」、「発症した場合でも重篤化しない」ということを目的としています。また、ワクチンは一度打てば永久的に抗体を獲得できるというわけではなく、一度獲得した抗体でも約5年程度で抗体価が消失または低下します。しかし、追加でワクチンを接種することで抗体を再獲得することが出来ます。
今回はワクチンで予防できる病気についての基礎情報と必要予防接種回数、その費用について「サン・インターナショナル・クリニック」が解説します。
破傷風
破傷風は土壌の至る所に存在している破傷風菌が傷口から体内に侵入することで感染します。カンボジアで多発しているバイク事故やひったくりによる転倒等で土壌にいる破傷風菌に傷口が曝露される可能性があります。
発症後の死亡率は成人で15%~60%、新生児は80%~90%です。破傷風の特徴的な症状は痙攣や開口障害、嚥下困難、重症例では呼吸筋の麻痺等の症状を呈します。治療法としては免疫グロブリン療法やワクチンの曝露後接種が挙げられます。
A型肝炎
A型肝炎は汚染された飲料水や食物から感染する病気で、上下水道環境が整備されていない東南アジア、アフリカ、中南米に広く存在します。発症すると倦怠感、嘔吐などの消化器症状、肝機能低下による黄疸が症状として現れます。
A型肝炎が重篤化することは珍しく、多くは一過性の急性肝炎症状で終わり、治療後は強い免疫を獲得します。現在日本では60歳以下の人々は抗体保有率が低いということを理由にワクチン接種が推奨されています。
狂犬病
狂犬病は発病すればほぼ100%が死亡する病気で、イヌだけでなくキツネ、アライグマ、コウモリなどの動物に咬まれることによって感染します。毎年世界中で約5万人の死者が出ており、その95%はアジアとアフリカで発生しています。罹患動物に噛まれた場合の治療法としては破傷風と同じく免疫グロブリン療法やワクチンの曝露後接種が一般的です。
日本脳炎
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを保有する蚊に刺されることによって起こる重篤な急性脳炎です。死亡率が高く、後遺症を残すことも多い病気です。流行地はカンボジアを中心に東アジア、南アジア、東南アジアです。症状としては40℃を超える高熱、下痢、嘔吐、意識障害、痙攣等が挙げられます。
一旦脳炎症状を起こすと死亡率は20~40%と高い割合で、回復した場合でも半数程度は重度の後遺症が残ります。治療薬はなく、症状に応じた対症療法が行われます。
B型肝炎
B型肝炎は血液を介して感染し、性感染症・輸血・臓器移植・入れ墨・母子感染が主な感染経路として挙げられます。B型肝炎は一過性感染と持続性感染の2つに大別され、どちらの場合もワクチンで予防することが出来ます。
症状としては易疲労、発熱、食欲不振、黄疸等が挙げられます。治療法としては投薬療法ですが、慢性肝炎に移行しないよう適切に治療することが必要です。
腸チフス
腸チフスはサルモネラの一種であるチフス菌によって引き起こされ、感染源は汚染された飲料水や食物です。カンボジアをはじめとした東南アジア、中南米やアフリカなど衛生環境の整っていない地域で多発しています。
主な症状としては下痢、嘔吐、高熱、頭痛、関節痛で、重症例では腸内出血や腸穿孔、胆嚢炎や肝機能障害を伴う場合もあります。抗菌剤投薬療法と対症療法をあわせで治療していくことが有効とされています。
ワクチンの摂取回数と値段
ワクチン名 | 必要予防接種回数 | 抗体持続期間 | サンクリの一回あたり価格 | 日本の病院での一回あたりの価格 |
破傷風 | 3 | 5年 | $10 | $35 |
A型肝炎 | 3 | 5年 | $67 | $75 |
狂犬病 | 3 | 2年 | $20 | $135 |
日本脳炎 | 1 | 5年 | $50 | $65 |
B型肺炎 | 3 | 5年 | $20 | $70 |
腸チフス | 1 | 3年 | $20 | $100 |
ワクチンは抗体を獲得するために数回接種が必要なものもあります。また、幼少期にワクチンを接種していることでも接種回数は異なってきます。金額については日本で接種した場合も保険適応はなく全額自己負担です。例えば、日本では破傷風のワクチンを3回接種するのに105ドルですが当院で予防接種を行うと3回で30ドル。狂犬病の予防接種を日本で行うと360~450ドルの費用がかかるところがカンボジアでは60ドルです。日本で接種した場合とカンボジアで予防接種をした場合の価格差はひとつのワクチンに付き70~400ドル程度ということになります。
この価格差は、衛生環境が整っている日本ではこうしたワクチンの需要が低く、海外から輸入に依存していることが多いということが理由のひとつとしてあげられます。
まとめ
予防接種に対する基礎知識がないことで、ワクチンの副作用を懸念して接種に至らないという方がいるのも事実です。しかし、現在のワクチンでは生きているワクチンではなく不活化ワクチンが開発され、副作用が少なく安全性の高い予防接種を行うことが出来ます。日本とは異なる衛星環境下で自身とその家族の命を守っていくためにもこうした予防策を行っていくことが重要です。
予防接種やその他健康問題に対するご質問はどうぞお気軽にご連絡下さい。
【病院情報】
Sun International Clinic- 住所:No.18, St.302, Sangkat BKK1, Khan Chamkamon, Phnom Penh
- 電話番号: 069-268-060/092-116-613(日本語対応可)
- 診察時間: 月~土 9:00〜18:00 日 9:00〜15:00
- 診察科:内科、耳鼻咽喉科、整形外科(認定スポーツ医)、消化器科
小児科、泌尿器科、形成外科、美容外科、皮膚科、
アンチエイジング治療 - カンボジア初、複数の日本人専門医による多診療科クリニック。
複数の日本人専門医と日本人看護師常駐。
大手の海外旅行保険取り扱い可能 - HP: http://siclinic.com/
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