ホルムズ海峡混乱でASEAN直撃、原油高騰と供給減が経済を揺るがす

ホルムズ海峡混乱でASEAN直撃、原油高騰と供給減が経済を揺るがす
2026年04月27日(月)00時00分 公開
ホルムズ海峡混乱でASEAN直撃、原油高騰と供給減が経済を揺るがす

<写真:khmertimeskh.com>

 

東南アジア諸国連合(ASEAN)のエネルギー安全保障と経済安定に対し、ホルムズ海峡の混乱が一時的ではなく構造的な衝撃となっているとする報告書を、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)が公表した。

 

同報告は、世界の原油輸送の約2割が通過する同海峡の機能低下を「世界エネルギー貿易の構造的断絶」と位置付けた。

 

2月下旬以降、同海峡の商業輸送は大幅に減少し、原油価格は1バレル100ドルを超え、液化天然ガス(LNG)の供給も約2割減少したとする。

 

代替輸送路や余剰生産能力では損失を補えない規模の混乱であると指摘した。

 

ASEAN諸国は輸入エネルギーへの依存度が高く、特にカンボジアやシンガポール、フィリピンなどはほぼ全量を海外に依存している。

 

中東からの供給に集中している構造もあり、長期的な供給障害に対する脆弱性が大きい。

 

影響はエネルギー分野にとどまらない。燃料費や輸送費の上昇により、石油化学や製造業、農業などでコストが増大している。

 

肥料価格の急騰は農業生産コストを押し上げ、食料安全保障やインフレへの懸念を強めている。

 

自動車や電子産業では供給不足とコスト上昇が生じ、物流の混乱により輸送遅延や運賃高騰も発生している。

 

こうした複合的な圧力により、域内では経済成長の鈍化や物価上昇、金融不安が生じる可能性があると警告した。

 

輸入額の増加は経常収支の悪化を招き、為替の変動や資本流出も懸念される。また、中東で働く出稼ぎ労働者への影響を通じ、送金収入にもリスクが及ぶとした。

 

報告書は、各国の個別対応では不十分であり、備蓄や補助金といった単独措置は供給不足や競争激化を招く恐れがあると指摘する。

 

対策として、バイオ燃料など自国資源の開発、域内エネルギー取引の拡大、ASEAN電力網やトランスASEANガスパイプラインなどインフラ整備の推進を提言した。

 

共同備蓄や協調的な在庫管理の必要性も強調した。

 

さらに、供給源の多様化や再生可能エネルギー導入の加速、省エネルギーの推進に加え、重要資材の供給網強化や物流のデジタル化、マクロ経済政策の協調も不可欠とした。

 

同報告は今回の事態をASEANのエネルギーと経済システムに対する「ストレステスト」と位置付け、長期的な強靱性の確保には域内統合の深化と政策協調、エネルギー構造の多様化が鍵になると結論付けた。

 

 

 

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