カンボジアの景況感指標が低下、選挙の不透明性が背景に

カンボジアの景況感指標が低下、選挙の不透明性が背景に
2017年03月01日 00時00分 公開
カンボジアの景況感指標が低下、選挙の不透明性が背景に




政治の不安定化や来年開催される国民議会選挙への不安が高まっていることを背景に、カンボジアの企業間における景況感指数が過去最低になり、今後の投資家の活動が沈静化する可能性があるとANZ Royal銀行の最新の調査で明らかにされた。

カンボジアの企業の現状と今後の状況について指標化した今年のANZ Royal景況感指標は昨年より7ポイント下がり100分の76となった。

「今後12ヶ月における全体の景況感指標は調査開始以来最低の数字となった」と2014年から毎年発表されている年次報告書には記載されている。

「全体における景況感指標の低下は市場の競争激化、政治の不安定化、国民議会選挙の不透明性、投資活動の沈静化などが原因に挙げられる。」と報告書では綴られている。

中小企業を主とする調査対象の3分の2の企業が景況感指標の低下を大きくさせたとされており、活気を取り戻している農工業を除き、その多くの企業は前年と比べ低い収益成長率を見込んでいるという。

しかしながら、中小企業と同様の懸念を持つ大規模事業における景況感指標は小さな変化しかみせなかった。これは確立されたビジネスモデルが背景にあるという。

調査では将来の事業の成長を裏付ける現在の業績などを理由に期待売上高や事業成長に関して良い指標も明らかにされた一方、それらの良い側面は政治的要因でかげりを見せているとされた。
多くの企業が、消費者心理が悪くなることを懸念するため、既存の投資が増加し、潜在性が高くなることを予想していないという。

しかしながら、企業の成長に重要となるのは依然として人件費の低さと賄賂で恩恵を受け取っている企業や人をターゲットとした税収システムの改善への取り組みだ。

汚職もビジネスにおいて大きな問題となっていると同時に、インフラや教育が不足していること、水道光熱費の高さなども調査対象の企業には懸念材料であった。

Emerging Markets Consulting社のデイビッド・トッテン氏はビジネスにおける障害は大きく減少したが、特に中小企業間での景況感を回復させるのは非常に難しいと話した。

「それゆえ、興味深い質問は大企業に比べ、中小企業の景況感と収入の低さと期待の膨らみの原因は何であるのかということだ」と同氏は話した。

「多くの国における経済政策立案者は中小企業が経済成長をもたらすことのできるように奨励している。だからこのデータにおける中小企業の景況感低下は良い兆候ではない。」と同氏は続けた。

ボーワーグループ・アジアのカンボジア代表であるデイビッド・ヴァン氏は景況感の低下は選挙の緊張が続く限り継続すると予想されるべきだと話した。

「カンボジアではよくある兆候だが、選挙前になると緊張が高まり、現地企業も外資企業も活動が沈静化する」と同氏は話した。

また、報告書によると2015年後半にアセアン経済共同体が発足して以来、国際取引における地域経済圏の包括的な影響力や競争激化によるリスクの増加はを認識した企業は期待の具体化に失敗したという。

ヴァン氏はアセアン経済共同体がより自由な取引環境をもたらすと政府が誇大に訴えていたため、言われてたほど変革をもたらさなかったととらえられてしまったと話した。

「発展しているアセアン諸国ほどモノの自由と経済交流の活発化をコンセプトにしたアセアン経済共同体から恩恵を受けるというのは良く知られた話しだ。しかし、カンボジアやラオス、ミャンマーなどまだ法整備が整っていなく発展が遅れている国は依然として苦しんでいる」とヴァン氏は続けた。

米、カリフォルニア州にあるオキシデンタル大学の世界情勢の准教授であるソファル氏は政治が景況感を低下させることは驚くべきことではないと話した。

「景況感を大きく低下させたのは来年の国民議会選挙における政治的不透明性だけではない。長い間安定していない気まぐれな政治状況が大きな原因だ。」とソファル氏は話した。

また同氏は企業には怒りや恐れを持っている顧客ではなく、幸せを感じて購買意欲のある顧客が必要だと続けた。

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