カンボジア国内で、HIV感染率が上昇

カンボジア国内で、HIV感染率が上昇
2017年05月29日 00時00分 公開
カンボジア国内で、HIV感染率が上昇



近年カンボジアでは、男性から女性に性転換をした人の間でHIV感染率が高まっているという。

先週の『BMC国際保健人権』に掲載された調査によると、12の州とプノンペンで調査した成人したトランスジェンダー1375人のうち、5.9%がHIV陽性であった。

これは、カンボジア全体における0.6〜0.7%にあたる。

同調査において、さまざまな要因の相関関係は分析していない。

しかし、「一番最近の性交渉」でコンドームを使用しなかった割合は39.1%であり、「トランスジェンダーであることを理由に多くの被験者が、性的虐待を経験(39.2%)、失業(24.3%)、身体的虐待を経験(23.6%)している」という結果となった。

LGBTIQ活動家のスラン・スローン氏は、差別や偏見が感染率を高める主な要因であると述べた。

「リスクの高い行動はトランスジェンダーの間でだけではなく、若者全体に蔓延している。しかし、他の若者は容易に情報を得ることができる」と同氏は語った。

トランスジェンダーの人々の多くは両親に絶縁されている。

所属する家がないと、医療制度や情報を得ることができないと述べた。

調査によると、トランスジェンダーの女性のHIV陽性率は2012年で4.2%となり、2010年の2.6%に比べ、過去の数年間で約6%増加している。
 
この調査を実施したイー・シヤン氏は、前回の調査で重点的に調査していた地域だけを見ると増加率はもっと高かったと付け加えた。

「今回、追加した地方を除外すれば、HIV陽性率は7%となり、明らかに2012年より増加している。」

シヤン氏は、高い陽性率の主な原因は、「HIV感染の自覚がないことと、コンドームの使用率の低さ」であると説明した。

この調査では、調査前にHIV感染の結果が陽性であることを知っていた被験者はたったの48%であった。

同氏は、「現在、トランスジェンダーの人々はカンボジア社会で以前より受け入れられており、自分自身を表現することができている。より性的な自由を楽しめるようにはなったものの、コンドームの使用率は低いままだ。」と付け加えた。

同氏は、社会的支援システムの欠如によって彼らが情報へアクセスできないことが要因であると述べた。

同調査では、HIVの陽性率は35〜44歳の女性が最も高く(13.1%)、25歳以下が最も低い(3%)という。

しかし、この調査に未成年者が含まれれば、また結果は変わるだろうとシヤン氏は述べた。

「何らかの機関が14~18歳に対して調査を敢行できれば、実態の全体像をより把握できるはずだ。この年代の若者たちは、性に対し積極的である。我々がこの現状を無視し続けていれば、良い結果は生まれないだろう。」

シヤン氏は、若者たちの調査が難しい理由は、未成年を調査するには両親の同意が必要である一方で、彼らは両親と遠く離れて暮らしていることが多いと語る。

厚生労働省と女性局(Ministry of Women’s Affairs)からのコメントはなかった。


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