カンボジアの貧困率、10年間で半減もコロナで進展に遅れ:世界銀行

カンボジアの貧困率、10年間で半減もコロナで進展に遅れ:世界銀行
2022年11月30日 16時11分 公開
カンボジアの貧困率、10年間で半減もコロナで進展に遅れ:世界銀行

<写真:The Phnom Penh Post>

 

世界銀行が28日に発表した報告書によると、カンボジアの貧困率は2009年〜2019年の間にほぼ半減したが、新型コロナウイルスの影響により貧困層削減の進捗が一部後退した。

 

世界銀行の貧困評価報告書「より包括的で強靭なカンボジアを目指して(Toward a More Inclusive and Resilient Cambodia)」によると、カンボジアの貧困率は10年間で33.8%から17.8%に低下し、約200万人が貧困から脱却した。

 

しかし、2020年以降に貧困率は2.8ポイント上昇して約46万人が再び貧困所得の基準を下回り、過去10年間の進展の一部が帳消しとなった。

 

報告書によると、カンボジア国内では急速な経済拡大が構造改革と相まって、賃金の上昇と生活水準の向上に繋がり、2009年〜2019年に掛けて成長と広範な所得向上を経験した。

 

また、観光や繊維、建設部門などの非農業所得の上昇が、貧困緩和に最も貢献したという。

 

貿易と投資主導による成長が生産性の高い部門への構造転換を支え、より賃金の高い製造業やサービス業の雇用を創出したため、労働者は低賃金の農業労働から賃金の高い経済部門へ移動し、所得が増加した。

 

同時に電気や水道、衛生、医療、教育といった基本的なサービスへのアクセスや生活環境も幅広い層で改善が見られ、農村部と都市部の世帯間の生活水準格差が縮小している。

 

カンボジアはパンデミックとそれに伴う経済的ショックからより包括的で弾力的な回復を支援するために、対象を絞った現金給付や社会的保護の強化、保健や教育への投資を含む様々な公的措置を検討する必要がある。

 

カンボジア王立アカデミー(RAC)の経済学者であるKy Sereyvath氏は、政府が経済システムの回復に努めたが、新型コロナウイルスの影響によって一部の人々は収入や職を失い、同国の貧困率が上昇したことを認めている。

 

一方で、2022年現在も同じ要因で貧困が発生しているが、2020年と2021年のピーク時に比較すると減少しており、貧困層や脆弱な世帯に現金支援を行う政府のプログラムが役立っているという。

 

同氏はロシア・ウクライナ紛争などの危機が、米ドルの価値上昇とともにインフレと食料不安を助長し、特に貧困国や発展途上国に悪影響を及ぼしていることを指摘する。

 

 

 

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