中国からカンボジアへの工場移転、経済多角化の必要性

中国からカンボジアへの工場移転、経済多角化の必要性
2025年03月06日(木)00時00分 公開
中国からカンボジアへの工場移転、経済多角化の必要性

<写真:Khmer Times>

 

米国の高関税を回避するため中国企業がカンボジアへ工場を移転する動きが加速しており、カンボジアの輸出拡大と経済成長が促進されている。

 

しかし、専門家は対米依存のリスクを指摘し、経済の多角化が不可欠であると強調している。

 

経済学者のドゥチ・ダリン氏は「中国企業の移転はカンボジア経済にとってプラスであるが、産業の多角化、貿易の段階的拡大、デジタル変革への投資が重要である」と指摘する。

 

中国企業の投資はカンボジアのGDP成長を支える重要な要素となっており、特に繊維や電子機器、自動車部品などの製造業は若く低コストな労働力を活用し、雇用創出や所得向上に貢献している。

 

また、技術移転を伴うことで、現地産業の生産性や技能の向上にも寄与している。

 

輸出の伸びも顕著である。カンボジア税関総局の報告によると、2024年の対米輸出は前年比11%増の約100億ドルに達し、米国との貿易総額は前年比11.2%増の101.8億ドルに拡大した。

 

このうち、カンボジアの輸出額は99億ドルで、11.4%の増加を記録している。

 

しかし、ダリン氏は「カンボジアの輸出が米国市場に過度に依存すると、貿易摩擦の激化や関税政策の変更が経済に悪影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らす。

 

そのため、農産物の加工・ブランド化による高付加価値化やASEAN・RCEP(地域的な包括的経済連携)を活用した市場の多様化が求められると指摘する。

 

さらに、インフラ整備への継続的な投資も不可欠である。電力供給や道路、港湾の改善により物流コストを削減し、国際競争力を強化することが重要であるとしている。

 

カンボジア中国商工会(CCCA)の副会長、ロー・ヴィチェ氏は、カンボジアの投資環境の魅力を強調し、中国企業の進出が拡大している背景には、外資100%出資を認める政府の優遇政策があると指摘する。

 

ヴィチェ氏「カンボジアは中国、韓国、ASEAN諸国との自由貿易協定(FTA)を活用し、貿易拠点としての地位を強化している。米中貿易戦争の影響で、多くの中国企業がカンボジアを代替拠点として選択する」と述べた。

 

現在、米国は中国製品に対して20%の関税を課しており、今後60%に引き上げられる可能性もある。これを回避するため、多くの中国企業がカンボジアに生産拠点を移している。

 

中国企業の移転はカンボジア経済に短期的な恩恵をもたらしているが、米国市場への依存が高まることで、新たな貿易摩擦や政策変更の影響を受けやすくなる可能性がある。

 

専門家は産業の多角化、輸出市場の拡大、デジタル経済への移行、インフラ整備の推進といった包括的な戦略の必要性を強調する。

 

これらの対策を講じることで、カンボジアは不確実性の高い国際経済環境の中でも持続可能な成長を確保可能であると考えられている。

 

 

 

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