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<写真:Khmer Times>
タイのパエトンタル・チナワット首相は、隣国カンボジアをサイバー犯罪の拠点と名指しした上で、国境閉鎖や通信遮断、輸出停止といった強硬措置を導入する方針を明らかにした。
24日の政府会見で発表されたこの対策により、両国間の緊張が一段と高まっている。
同首相は国境周辺に広がる犯罪ネットワークの根絶を目的として、3カ月間の対策強化計画を発表している。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)が「世界最大級のサイバー犯罪拠点」と位置付けたカンボジアに対して、通信回線の遮断や、石油・ガスなど主要資源の輸出停止を含む措置を取るとした。
国境に設置された7カ所の検問所では入出国制限が強化され、外国人観光客による国境地域での賭博行為は禁止される。
加えて、反マネーロンダリング対策の一環として、犯罪収益の凍結・没収にも注力する構えである。
これに対し、カンボジアのチェア・ヴァンデット郵便・電気通信相は「根拠のない非難」と強く反発し、「サイバー犯罪を容認することは一切ない」と強調した。
2月にはフン・マネット首相が主導する「オンライン詐欺対策委員会」が設立され、カンボジア側も対策を強化していると説明した。
一方、タイ国内では同日、パエトンタル首相とカンボジアのフン・セン上院議長との会話を含む音声データが流出した問題を受け、国家汚職防止委員会(NACC)が倫理調査を開始した。
野党議員が提出した訴状に基づき、10日以内に証拠の精査と証人聴取を行う方針である。
カンボジアのシンクタンク「アジアビジョン研究所」のチュン・キムロン所長は、今回の措置を「国民の関心を国内問題からそらすための陽動戦略」と分析している。
国境閉鎖によって経済的打撃を与え、軍事力の弱体化を狙ったものとの見方を示した上で「現在のカンボジアは20年前とは異なる」と反論した。
国連も3月、タイ政府に書簡を送り、ミャンマー国境地域を含むタイ国内が人身売買やオンライン詐欺の温床となっている点に懸念を表明し、被害者の保護措置や国際協力の強化を求めている。
今回の強硬策はパエトンタル政権の外交姿勢と国内政治への影響に注目が集まる中、東南アジア全体におけるサイバー犯罪対策の協調の重要性を改めて浮き彫りにした。
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