ヨウ素欠乏による子どもへの被害 日本で発生した津波も影響か

ヨウ素欠乏による子どもへの被害 日本で発生した津波も影響か
2017年05月18日 00時00分 公開
ヨウ素欠乏による子どもへの被害 日本で発生した津波も影響か



日本の福島での津波と放射線災害は現在、間接的にカンボジアの子供たちの発達途中の脳を脅かしているという。カンボジアでは未だこのような自然災害は発生していないにも関わらずだ。


カンボジアは、長い間ヨウ素欠乏症に苦しんできた。

ヨウ素は、脳の初期成長には極めて重要である。妊娠中の女性とその乳児のヨウ素が欠乏しているとき、その子供は10から15ポイントのIQを永久に失う可能性がある。

ヨウ素欠乏症は、世界的に知能低下を引き起こす原因と考えられている。

しかし、あるもので安く簡単に治療ができる。それが、ヨウ素添加塩だ。
塩が綺麗に包装されている場合、ヨウ素酸カリウムがその上にかけられている可能性がある。通常は、1トン1ドルから2ドルかかる。
 

つまり、1人の子供につき1ニッケルで、1年間の間に国全体のIQを10ポイント上げることができるようになると栄養学の専門家は述べる。
 

欠乏予防に取り組む官民パートナーシップ「ヨウ素グローバルネットワーク(IGN)」が2015年に発表した報告によると、カンボジアは2011年までヨウ素欠乏症に関して、大きな進歩を遂げたという。
 

定期的に洪水が発生する多くの国のように、カンボジアの土壌には天然のヨウ素がほとんどない。

そのため、作物にもほとんど含まれていないという。ユニセフによると、1997年、人口のおよそ5分の1で、首のリンパ腺が腫れる甲状腺腫が発生し、深刻な欠乏を示し、小人症やクレチン病の原因にもなりうる可能性があった。
 

1999年、援助国からの支援により、カンボジアは食塩にヨウ素を含めるよう指導し始めた。2003年、国会と国王はそれを強制させた。

海水を蒸発させて作るカンポット州とケープ州の数少ない小規模製造者はカリウムヨウ素酸噴霧機を備えた協同組合を形成した。
 

栄養学ジャーナルの2015年の研究によると、2000年から2011年にかけて、ヨウ素添加塩の使用率は13%から70%に増加したという。
 

2010年、ユニセフと他の援助国は政府と塩の生産者にヨウ素化の責任を負わせるようになったが、最近のVOAニュース報道では、噴霧器が壊れても修復されないほどのゆるい取り締まりであるという。
 

そして2011年、日本での地震と津波の発生後、世界でヨウ素の価格が3倍になった。ユニセフの微量栄養学の専門家であるローランド・カプカ氏は、その価格増加には、様々な要因があると述べた。
 

2008年の不況が原因で、世界にあるヨウ素の備蓄はすでに少なかったという。
世界のヨウ素の3分の1は、日本の天然ガス掘削業者が、海岸の井戸から汲み上げた海水からそれを抽出し、生産している。
 

しかし2011年の大災害で井戸は損傷し、精製所が炎上、電力生産が急激に減少した。

この問題に加えて、福島原子力発電所からの放射性ヨウ素の放出により、特にアメリカ西部で、保護ヨウ化カリウムの買い占めがあった。
価格は一時、通常の50倍に達したという。
 

抽出したてのヨウ素の価格は、2年間高いままでヨウ素酸カリウムを生産しているインドの企業に提供するるよう懇願している。

要素は、レントゲン機械、液晶画面、医療品にも使用されている。ヨウ化添加塩はわずかな市場シェアを占めているため、生産者は買い手の入札と一致させることができなかった。
 

ヨウ素の高騰はまた、カンボジアの塩産業に大混乱をもたらすという。
ベトナムからの非ヨウ素添加塩は、価格が半額だったため、密輸されていた。カンポットの協同組合の塩は、ヨウ化されずに販売されていた。
 

塩分を再包装する前に検査をすることになっていたいくつかの卸売業者はそれを中止した。

2014年、ユニセフの研究者とカンボジアの計画省は、市場で購入した1,862もの塩の試供品を検査した。
 

しかし、塩の協同組合による月刊報告によると、試供品の90%以上が基準を満たしていたという。
「我々は、内部統制の合法性に疑念を抱いている」とユニセフは報告した。
 

2300人の小学校で行われた検査では、尿のヨウ素濃度が2011年に比べおよそ30%低下しており、この問題は「教育課程の持続可能性を脅かす」と立案者らは結論づけた。
 

ユニセフは政府に対し、独自の法律を施行し、より良い検査を行うことを促しているとカプカ氏は述べ、カンポットの協同組合はヨウ素酸カリウムを一括して購入するための資金を準備しているという。
 

一生消えない損害から子供達を守る時間はまだあるとヨウ素グローバルネットワークのジョナサン・ゴーステン社長は述べる。
 

あれは、エチオピアで起こったと同氏は語る。

2000年までその国は、エリトリアから天然のヨウ素を購入していたが、2国間での戦争によって両国間の貿易を断つことになり、エチオピアはヨウ素を含まない塩の製造を始めた。
 

約8年後、「知的障害を持つ新生児が生まれた。」とゴーステン氏は述べた。
 

2011年に、エチオピアはその問題に取り組んだ。援助国の支援を受け、噴霧器を得て、産業におけるヨウ素の基準を設定した。
 

そして現在、国民の80%がヨウ素添加塩を使用している。「我々が本当に避けたいことは、その成功が逆戻りしてしまうことだ。」とゴーステン氏は述べる。

 

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