成長率見通しを下方修正、米国関税の影響で輸出依存に懸念

成長率見通しを下方修正、米国関税の影響で輸出依存に懸念
2025年07月25日(昨日)00時00分 公開
成長率見通しを下方修正、米国関税の影響で輸出依存に懸念

<写真:Khmer Times>

 

ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)は7月の地域経済報告で、カンボジアの2025年の実質国内総生産(GDP)成長率見通しを従来の5.8%から5.2%へ、2026年についても6.0%から4.7%へとそれぞれ下方修正した。

 

米国の新たな関税措置に起因する世界経済の不透明感が、成長鈍化の要因とされている。

 

米国は4月2日、トランプ前大統領の主導により新たな対中関税政策を発表し、これによりグローバルな供給網や貿易フローに影響が及んでいる。

 

これを受けて、世界銀行も6月にカンボジアの成長率見通しを5.5%から4.0%へ引き下げた。

 

AMROのドン・ヘ主席エコノミストは記者会見で「カンボジアおよびベトナムは米国市場への輸出依存度が高く、特にカンボジアは衣料品、履物、旅行用品といった特定品目への集中度が顕著である」と指摘した。

 

米国との交渉が継続中であるものの「高関税環境下での持続的成長は容易ではない」との認識を示した。

 

一方、同国は中国への農産品輸出の拡大など、市場の多角化に取り組んでおり、AMROは引き続き輸出先の分散と産業構造の多様化が重要であると強調した。

 

現地経済学者のダリン・ドゥチ氏は、米国による一部関税の引き下げ(49%から36%)について、「域内競争力の維持とASEAN統合の方向性に沿った成果であり、戦略的な経済外交の一例」と評価した。他国と比較しても迅速な対応が目立ったと述べた。

 

同氏はまた「今回のAMROによる見通し修正は、あくまで米中経済関係の緊張と関税ショックがもたらした外的要因によるものであり、カンボジアの輸出基盤そのものは依然として安定している」としたうえで、将来的な成長維持には、さらなる関税の緩和と経済の内在的多様化が不可欠であると分析した。

 

次回のAMRO地域経済報告は、2025年10月に公表される見通しである。

 

 

 

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