教育学者:カンボジアの教育には改革が必要

教育学者:カンボジアの教育には改革が必要
2022年11月28日 16時04分 公開
教育学者:カンボジアの教育には改革が必要

<写真:Khmer Times>

 

教育専門家によると、カンボジアが国家発展に向けて信頼できる人材を育成するためには、特定のレベルや分野へ一度に変化をもたらすのではなく、教育部門はあらゆる角度から保護者を含む関係者による幅広い改革を必要としている。

 

「American Intercon School」や「Aii Language Centre」を運営する「Mengly J. Quach Education」の創設者兼会長であるQuach Mengly氏は、カンボジアの教育には国の急速な発展に適合する十分な水準の人的資源を構築するための能力が備わっていないと指摘する。

 

同氏によると、大学を卒業した多くの学生が就職することができずに低賃金労働を強いられているか、労働市場に参入した学生の多くが近代的な企業が求める技術を持っていない。

 

こうした状況の原因は教育省による教育分野の改善が少ないことではなく、クメール・ルージュが戦争と大量虐殺によって教師や専門家といった知識層を一層したため、1979年にゼロから教育部門を立て直さなければならなかったことに端を発しているという。

 

しかし、現在のカンボジアは急速に発展しているため、過去と比較するばかりではなく、現時点で必要な改善を検討し、将来に向けて準備を続けなければならない。

 

同氏は毎年行われる全国高校卒業試験(Bac II)を改善が必要な教育制度の一例として指摘する。

 

2014年にHang Chuon Naron大臣が導入した教育改革以来、同試験受験者の多くが大学の学位取得を可能にする高校卒業資格を得ることができずにおり、上位の成績を収めた一握りの優秀な生徒のみが引き立てられている。

 

一握りの優秀な人材に頼っていては国家も経済も存続できないという事実が忘れ去られている。

 

また、同試験への落第は教育格差や教師の資格、専門性の欠如といったことが原因となっている場合も多く、政府雇用の教師は副収入を得るために家庭教師に時間を費やし、教室での授業に時間やエネルギー、注意を割くことが少なくなっているという。

 

家庭教師を雇う余裕がない貧しい学生は成績が悪い可能性が高く、後に社会から落伍者というレッテルを貼られることになる。

 

この様な貧しい学生が得ることのできる機会は少なく、貧困の連鎖から抜け出すことが困難な状況に陥ってしまう。

 

こうした状況に対して同氏は、改善と改革は学生だけではなく、官民の全ての関係者が行うべきであると主張する。

 

教師は生徒の教育において最も重要な役割を担っているため、公立・私立を問わず学校は教師の採用や研修にさらに資源を割く必要があり、カリキュラムと教科書を中心とした学習教材は政府によって一貫して更新される必要がある。

 

当局は資源不足の学校に注意を払い、改善のためにできる範囲で最善を尽くす必要があり、教育における汚職は常に法の執行と罰則の対象となるべきである。

 

また、保護者は子供の能力を観察し、教師や学校経営者と密接に連絡を取り、子供の学習にさらに関与する必要がある。

 

教育省によるとカンボジア国内には国立大学48校と私立大学80校の計128校があり、学士号を取得した学生数は2017年に17万4142人、2018年に16万5359人、2019年に16万8274人、2020年に17万9258人、2021年に17万1183人となっている。

 

しかし、同氏によると、卒業生の多くは国のために良い人的資本を生み出すことよりも利益を上げることを重視する「ディプロマ・ミル」を卒業しており、労働市場で必要とされるスキルを持っていないという。

 

同氏は教育省に対し、高等教育機関の監視強化と定期的な評価を通じたディプロマ・ミルの取り締まり強化をし、国への悪影響を防止するように要請した。

 

 

 

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