プノンペン不動産市場、回復基調と外的リスクが交錯する25年の展望

プノンペン不動産市場、回復基調と外的リスクが交錯する25年の展望
2025年09月09日(火)00時00分 公開
プノンペン不動産市場、回復基調と外的リスクが交錯する25年の展望

<写真:khmertimeskh.com>

 

2025年のカンボジア・プノンペンの不動産市場は、セクター全体で着実な回復を見せつつあるが、関税措置や国境問題、経済的不確実性といった外的リスクが依然として市場の不安定要因となっている。一方で、こうした課題を成長の機会と捉える動きも見られ、全体としては希望と慎重さが交錯する局面にある。

 

realestate.com.khの報道によれば、Ross Whebleカントリーヘッドは「当初は順調に見えたが、予期せぬ慎重さも求められるようになった」と述べ、市場の成熟と共に変動に対する柔軟な対応が必要であると示唆している。さらに、同社のCEOであるTom O’Sullivanは「信頼できる開発業者とライセンス取得済み仲介業者の重要性が増しており、規制強化によって透明性が向上し、外国投資の呼び水となっている」と指摘している。

 

政府は不動産セクターを支援する姿勢を明確にしており、税の延長措置や各種インセンティブを通じて、投資環境の魅力を高めている。マクロ経済面では、2025年の経済成長率が4%に下方修正されたものの、堅調な基調は維持されている。第1四半期にはCOVID-19以降で最も好調なパフォーマンスを記録したが、4月の米国による関税発表や5月の国境閉鎖といった短期的な外部要因が市場センチメントに影を落とした。ただし、中長期的には強固なファンダメンタルが支えとなっており、市場の安定成長が期待されている。

 

セグメント別に見ると、サービスアパートの供給は約8,975室で前年比7%増、2028年には約1万554室に達する見通しである。ボンケンコン(BKK)エリアが市場の3分の1を占め、ビジネスクラスが半数を構成する。コンドミニアム市場は外国人・国内バイヤーともに活発で、2025年上半期の販売は2020年以降で最高水準となった。供給ユニット数は約6万1564で、チャムカモン、センソック、ミエンチェイが供給の中心地となっている。

 

オフィスセグメントでは、累計供給面積が約101万5380㎡に達し、2028年には約155万7098㎡に拡大する見通しである。グレードBのオフィスが約49%を占め、チャムカモンとダウンペンが主要エリアとなっている。プライム賃料は平均で月額21ドル/㎡と安定しており、今後は健康・ウェルネス施設の導入が差別化の鍵となる。

 

小売(リテール)分野では、稼働率がわずかに低下しているものの、供給は累計で約87万3201㎡に達しており、今後は約114万7955㎡への拡大が予測される。新規供給の多くがセンソックおよびミエンチェイエリアに集中しており、F&B(飲食)テナントが主力となっている。

 

ホテル市場では客室数が約1万6372室となり、前年比で6%増加した。新たに国際ブランド1軒とMorgan Groupによる国内ブランドの400室が加わり、ダウンペンエリアが市場全体の39%を占めている。2028年までには約1万9483室への拡大が見込まれている。

 

また、工業・特別経済区(SEZ)においては、従来の低付加価値型産業から電子部品などの高付加価値産業への転換が進んでいる。不動産がGDPの34%を占める見通しであり、CDC(開発審議会)は2025年1〜5月にかけて約42億ドルの投資を承認した。このうち121件がSEZ内でのプロジェクトであり、現在28か所のSEZが稼働中、32か所が建設中である。

 

総じて、プノンペンの不動産市場は外的リスクによる短期的な変動を抱えつつも、規制の整備や政府支援、民間の戦略的対応によって中長期的には成長軌道に乗っている。今後は透明性と信頼性を備えたプロジェクトが市場の中心となり、特に都市中心部に位置するコンドミニアム、サービスアパート、オフィス、ホテルといった資産に対する持続的な関心が見込まれる。市場の差別化と品質向上が、今後の鍵となるであろう。

 

 

 

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