タイからの帰国労働者90万人、カンボジア経済の原動力に

タイからの帰国労働者90万人、カンボジア経済の原動力に
2025年12月02日(火)00時00分 公開
タイからの帰国労働者90万人、カンボジア経済の原動力に

<写真:khmertimeskh.com>

 

タイとの国境紛争に伴い、約90万人のカンボジア人労働者が国外から帰国した。これを受け、カンボジア政府は国内の労働市場を再構築し、経済成長へとつなげる戦略を本格化させている。

 

カンボジア労働職業訓練省によれば、帰国労働者の多くはタイにおける農業、建設、製造業分野で豊富な経験を有しており、これを国内産業の高度化に活用できる可能性があるとされる。

 

しかしながら、帰国者が国内の産業基準や労働環境に適応するためには、職業訓練や技能認証制度の整備が不可欠であり、政府は技能開発を最重要課題と位置付けている。

 

2025年10月時点で、カンボジア開発評議会(CDC)は579件、総額92億ドル相当の投資プロジェクトを承認しており、これにより約40万人の新規雇用が見込まれている。

 

政府は年末までに600件以上の投資プロジェクト承認を目標に掲げ、雇用創出の基盤強化を急いでいる。

 

帰国労働者の一部はすでに経済特区や製造業の現場で就業しており、他にも職業訓練を経て半熟練労働者として産業に参入する動きが広がっている。


政府は2023年より、150万人の若年層および労働者を対象とした職業訓練プログラムを展開しており、将来的な熟練労働力の育成を進めている。

 

現在、カンボジアの労働市場は、従来の低熟練労働を中心とした構造から、機械操作、品質管理、食品加工、デジタルサービスなど中間技能領域への移行を図っている。

 

この取り組みは、政府が掲げる「ペンタゴン戦略」および「ビジョン2050」における高所得国化の達成にも資するものである。

 

アジア・ビジョン研究所のチャン・キムロン所長は、タイの政情不安および経済の停滞を背景に、これまでタイが引き付けていた外国直接投資の一部が、政治的安定性と法制度・治安環境の改善が進むカンボジアへと流入する可能性を指摘している。

 

帰国労働者の国内定着と職業能力の向上は、カンボジアの持続的成長に不可欠である。政府は求職支援や職業紹介を積極的に行い、民間部門との連携を強化することで、帰国者を受け入れる雇用環境の整備と経済基盤の強化に取り組む方針である。

 

 

 

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