カンボジアの不動産市場、2026年に期待される展望

カンボジアの不動産市場、2026年に期待される展望
2026年01月01日 00時00分 公開
カンボジアの不動産市場、2026年に期待される展望

<写真:khmertimeskh.com>

 

2025年が困難な年として終わりを迎える中、2026年に向けてカンボジアの不動産市場および経済全体における変化と進展への期待が高まっている。以下では、不動産セクターを中心に注目される5つの主要な要素を整理する。

 

2025年を通じて激化したタイとの国境紛争は、数十万人規模の避難者と経済的損失をもたらした。長年にわたりカンボジアが投資の魅力として掲げてきた「平和と安定」は大きく揺らいだ形であり、2026年に向けた最優先課題として、国境地帯での和平と停戦の実現が求められている。

 

経済面では、政府が2026年に向けて輸入品に対する関税や特別税率の削減を進めており、貿易効率の向上と企業負担の軽減が期待されている。これにより、製造業や貿易分野の競争力強化と国内外からの投資誘致が見込まれるものの、物流の非効率性や高額な関税は依然として越境Eコマースにおける障壁となっている。

 

シアヌークビルの特別投資促進プログラムにおいても、412件中134件のプロジェクトが完了しているが、全体の進捗に対しては評価が分かれている。

 

国際的な接続性の強化も課題である。シェムリアップおよびプノンペンの新空港が開港したにもかかわらず、新たな直行便の就航は限定的にとどまっている。インドへの直行便は実現したが、他の多くの路線は第三国経由であり、利便性に欠ける状況が続いている。

 

空港利用料の引き下げや欧米・オーストラリアへの直行便に関する実現可能性調査を含め、国際線ネットワークの拡充が今後の経済多角化に不可欠である。

 

住宅市場については、政府が2025年末に社会的住宅および手頃な価格の住宅開発に関する政策の見直しを発表している。これは2017年の政策に代わる新たな取り組みであり、低・中所得者層向けの住宅供給拡大と市場全体の活性化を目指すものである。

 

政策内容には、政府・NGO・民間企業の連携、資金調達手法の拡充、対象顧客や事業提案基準の見直し、申請手続きの簡素化などが盛り込まれている。しかしながら、2025年に引き渡された9000戸超のコンドミニアムには手頃な価格帯の住宅が含まれておらず、政策の実効性が問われている。

 

将来的には人口が2030年に約1850万~1900万人、2050年には2000万人を超えると予測されており、住宅需要の一層の高まりが見込まれる。

 

都市計画においては、緑地や公共空間の確保が喫緊の課題となっている。プノンペンをはじめとする都市部では、依然として公共緑地の不足が深刻であり、かつて検討された旧国際空港跡地の公園転用構想なども具体的な進展を見ていない。

 

2025年4月、フン・マネット首相はプノンペン郊外のコブスロブ地区において70haを新たな公共公園用地とする方針を打ち出したが、計画の具体化には時間を要すると見られている。都市環境の改善と住民の生活の質向上の観点から、大規模な緑地空間の確保とコミュニティ空間の整備は喫緊の課題である。

 

カンボジアの不動産市場は、平和と安定の確保、経済の多角化、国際的な接続性の強化、住宅政策の実行力、そして都市環境の改善といった多面的な要素によって成長の方向性が左右される。2026年の展望は、これらの取り組みがどれだけ具体的な成果を上げられるかに大きく依存している。

 

 

 

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