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<写真:khmertimeskh.com>
カンボジア国内で拡大するサイバー詐欺拠点の実態について、元従業員の女性が証言を行った。同女性によれば、詐欺は中国系犯罪組織が主導し、外国人を標的とした大規模なオンライン詐欺ネットワークが運営されていた。
従業員は厳格な管理下に置かれた施設で活動し、あらかじめ用意された台本に従って被害者と接触していた。
SNSやメッセージアプリを利用し、恋人や金融アドバイザーを装って信頼を獲得し、偽の投資プラットフォームへ誘導して資金を引き出す手口である。
施設内では多数の従業員が一斉にパソコンに向かい、監督者が全画面を監視していた。
業績に応じた報酬制度も存在し、さらに「モデルチーム」と呼ばれる部門が、他国出身のモデルの写真を用意し、実在する人物を装う役割を担っていたという。
証言者は病気治療費を得るために組織へ関与したが、厳しい監視と過酷な労働環境に耐えかね脱出を決意した。
現在は詐欺に使われた台本や内部写真、チャット履歴を提供し、被害者救出と組織摘発の必要性を訴えている。
こうした証言を受け、カンボジア政府は2025年7月16日、国内全土で前例のない規模のサイバー犯罪摘発作戦を開始した。
首都から地方にかけ約140カ所を一斉に捜索し、19カ国以上の容疑者3200人超を拘束した。拘束者の過半数は中国およびベトナム出身とされる。
今回の摘発はフン・マネット首相の主導で実施され、政府はサイバー犯罪に対する断固たる姿勢を内外に示した。
内務省報道官のトゥッチ・ソッカ氏によれば、この作戦は前政権下から続く戦略に基づき、数カ月にわたる捜査を経て実行に移されたものである。
一方、暗号化アプリや海外口座の利用、法整備の遅れなどが捜査の障害となっており、国家警察サイバー犯罪対策部のソク・ニティア少将は法制度の強化と国際協力の重要性を強調している。
国連人権高等弁務官事務所の報告では、東南アジア地域で数十万人が詐欺拠点における強制労働に従事させられており、これらの組織は年間約437億ドルを稼ぎ出していると推定される。被害者の中には脅迫や暴力、性的搾取を受けた者も含まれる。
人身売買対策国家委員会のチョウ・ブンエン副委員長は、中国やベトナムを拠点とする組織が少なくとも17カ国から労働者を勧誘していると指摘しつつ、責任を一国に限定せず、多国間協力による対策が不可欠であると述べた。
カンボジア政府は今後もオンライン詐欺根絶に向けて取締りを継続する構えである。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。