おすすめのプロモーション
<写真:khmertimeskh.com>
カンボジアの経済成長率は、米国による関税措置およびタイとの国境閉鎖の影響を受け、2025年には5.2%、2026年には5.0%へと鈍化する見通しとなった。アウン・ポーンモニロート経済・財務相がこの見通しを明らかにした。
米国は2025年8月1日よりカンボジアからの全輸入品に対し一律19%の関税を課している。この措置に加えカンボジアとタイの陸路国境が長期にわたり閉鎖されていることが輸出産業に深刻な影響を及ぼしている。
こうした逆風にもかかわらず、同相は「輸出主導型の産業や堅調な国内消費が、成長の下支えとなっている」と述べ、一定の成長は維持されるとの見方を示した。2026年の名目GDPは538億ドル、1人当たりGDPは3020ドルに達する見込みであり、インフレ率は2.8%にとどまるとされている。
カンボジア経済は、衣料品、履物、旅行用品などの輸出をはじめ、観光、農業、不動産といった分野に依存している。しかし、今回の成長減速を受け、専門家の間では経済の多角化と輸出市場の分散化を求める声が強まっている。
王立カンボジア学士院傘下のシンクタンク「国際関係研究所」のキン・ピア所長は、中国との自由貿易協定(CCFTA)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の積極的な活用を提言した。これにより、「農産加工品や軽工業品の輸出先拡大につながる」との見解を示している。
また、同国の主要大学で講師を務めるトン・メンデイビッド氏は、ASEANや東アジア、中東、ユーラシアなどの地域的貿易枠組みに注力すべきと主張し、電子機器、再生可能エネルギー、グリーン技術分野への進出を提案した。さらに、税制改革、インフラ整備、人材育成を通じた事業環境の改善が急務であると強調している。
カンボジアは現在、外的ショックに強い経済構造の構築を迫られている。今後は、域内統合の深化と経済基盤の強化が、持続的成長の鍵となる。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。