タイ軍が再度発砲で緊張再燃、カンボジア民間人も負傷

タイ軍が再度発砲で緊張再燃、カンボジア民間人も負傷
2025年12月09日(火)00時00分 公開
タイ軍が再度発砲で緊張再燃、カンボジア民間人も負傷

<写真:khmertimeskh.com>

 

12月8日未明、午前5時4分頃、タイ軍がカンボジア北部プレアビヒア州アンセス地域に駐留するカンボジア軍に対して発砲し、続いてタモアントム寺院、プレアビヒア寺院周辺において戦車を用いた砲撃を行ったと、カンボジア側が報告した。

 

この攻撃は、ここ数日間にわたりタイ軍が挑発的な行動を繰り返してきた流れの延長にあり、カンボジア国防省は「衝突を誘発する意図があった」と強く非難している。

 

カンボジア軍は今回の攻撃に対して応戦を控え、国際法と合意履行の精神に則り平和的解決を求める姿勢を示したうえで、状況を慎重に監視していると述べた。

 

また本件をASEAN Observer Team(AOT)に改めて通報し、現地調査の実施と透明性および公平性の確保を求める方針を表明した。

 

国防省はこの攻撃を「非人道的で残酷な行為」と断じ、2025年10月26日に署名されたカンボジア・タイ間の和平合意(Kuala Lumpur Peace Accord)に対する明白な違反であると主張した。

 

同日午前11時には、別の地域であるオダーミエンチェイ州でもタイ軍による攻撃が報告され、民間人3名(うち女性1名)が負傷したとされる。

 

地元当局は負傷者に対して応急処置を施している。また、前線近くに居住する住民の避難が進み、午前の時点で1157世帯が安全区域へ移動したとの報告がある。

 

両国は2025年7月の激しい戦闘を受け、10月26日に和平合意を締結し、重火器の撤収や地雷除去、ASEANによる監視体制の導入などを取り決めていた。

 

しかし11月中旬にタイ軍兵士が地雷爆発で負傷したことをきっかけに、タイ側が合意履行を停止したとされ、以降断続的に発砲や砲撃が続いている。今回の事態は、和平合意の脆弱性を改めて示すものとなった。

 

今回の再発砲を受け、地域情勢は再び緊張が高まる可能性が高い。カンボジアはタイに対して武力による威嚇の即時停止と合意の誠実な履行を求めるとともに、国際社会に対しても強い非難を呼びかけている。

 

歴史的に続く国境問題や寺院周辺の領有権紛争が根底にある中、和平合意が実質的に機能しない状況となったことで、両国間の軍事的緊張は一段と深まる恐れがある。

 

 

 

[© poste-kh.com 2016-2025 All Rights Reserved.]
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。

ホットニュース

Choose Classified categories