タイ軍による民間人銃撃事件、予備調査結果を公表

タイ軍による民間人銃撃事件、予備調査結果を公表
2025年11月28日(金)00時00分 公開
タイ軍による民間人銃撃事件、予備調査結果を公表

<写真:khmertimeskh.com>

 

カンボジア北西部バンテアイ・メンチェイ州オーチョロウ地区オー・ベイチョーン郡のプレイ・チャン村において、11月12日にタイ軍が民間人へ発砲し、1人が死亡、3人が負傷する事件が発生した。

 

この件に関して、カンボジア外務・国際協力省は第1次調査結果を外交団および関係国際機関に対して報告した。

 

調査には国内警察およびASEAN監視団が参加しており、発砲は「無差別かつ挑発なし」に行われたと結論づけられた。

 

調査の結果、発砲前後にカンボジア側の武装部隊からの銃撃は確認されていない。

 

カンボジア外務省の常務次官であるイート・ソペア氏は、同国が2025年7月28日に締結された停戦合意および10月26日のクアラルンプール和平協定の完全履行を支持する立場を改めて表明した。

 

また、タイ側が新たに地雷を敷設したとの主張についてはこれを明確に否定し、11月10日に発生したタイ兵の地雷被害についても、1970〜1980年代の内戦期に埋設された旧来の地雷によるものと主張している。

 

カンボジア政府は今回の発砲を「主権と領土一体性の重大な侵害」「国際人道法、ASEAN条約、国連憲章の重大な違反」と位置づけ、タイ政府に対して正式な抗議を申し入れた。

 

また、事件の公正な解明と加害者の責任追及を求め、国際社会に訴える姿勢を示している。

 

両国間では2025年7月、数日間にわたり激しい国境衝突が発生し、多数の死傷者と数十万人の避難者を出した。

 

この事態を受けて停戦合意および和平協定が締結されたが、11月10日のタイ兵の地雷被害を契機にタイ側は和平合意の履行を一時停止している。

 

続く今回の銃撃事件は、和平プロセスの継続に深刻な影を落とすものとなった。

 

過去にも2025年9月には、タイ軍がゴム弾や催涙ガスを用いて民間人に対する武力行使を行ったとの報告があり、国境地帯の緊張は継続していた。

 

今回のカンボジア当局による「無差別発砲」との認定は、国際人道法および国境紛争処理の枠組みにおいて重大な意味を持つ。

 

カンボジア政府は第三者による独立調査の実施を求め、国際社会の関与を呼びかけている。

 

和平合意の枠組みを維持できるか否かは、事件の処理とそれに対する国際的な対応に大きく左右される見通しである。

 

一方で、タイ側の反論や証拠提示の行方も今後の焦点となる。

 

両国間の外交交渉は緊迫の度を強めており、ASEAN加盟国を含む国際社会の対応が注目されている。

 

プレイ・チャン村での銃撃事件は、停戦後もくすぶる柬タイ国境の緊張を象徴する事例であり、和平プロセスの命運を左右する重要な局面を迎えている。

 

 

 

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