カンボジア経済が減速、26年は成長率4.0%まで低下

カンボジア経済が減速、26年は成長率4.0%まで低下
2025年11月28日(金)00時00分 公開
カンボジア経済が減速、26年は成長率4.0%まで低下

<写真:khmertimeskh.com>

 

国際通貨基金(IMF)は、カンボジア経済の成長率が2025年に4.8%へ減速し、2026年にはさらに4.0%まで低下するとの見通しを示した。

 

これは、2024年の6.0%および2025年前半の推計成長率6.2%と比較して大きな鈍化であり、同国経済が世界的な不確実性と国内の構造的脆弱性に直面していることを浮き彫りにしている。

 

IMFが11月21日にワシントンD.C.で実施した「第4条協議」に基づく報告によれば、2025年後半に発生した一連のショック──国際貿易の混乱、周辺国との国境緊張の高まり、信用成長の減速──が企業および家計の信頼感を損ね、経済活動の冷え込みを引き起こしている。

 

成長鈍化の主要因としては、海外からの送金の減少、観光業の回復の鈍さが挙げられる。

 

また、輸出企業は関税の影響や利幅の圧迫に苦しんでおり、製造業の収益性にも悪影響が及ぶとみられる。

 

さらに、国内の信用供与の伸び悩みは、実体経済に対する市場の信頼感が低下していることを示唆している。

 

物価動向については、2025年に輸入物価の上昇によってインフレ率がやや上昇する見通しだが、2026年には再び落ち着くと予測されている。

 

IMFは金融セクターの脆弱性が依然として経済の大きなリスク要因であるとし、下振れリスクが強いと警鐘を鳴らしている。

 

IMFが指摘する主なリスク要因には、①世界的な貿易政策の不確実性による輸出の鈍化、②国境紛争など地政学的緊張の激化による観光および投資への悪影響、③不動産部門を中心とした民間債務の増加と、それに伴う不良債権の拡大がある。

 

これに加え、統治能力の脆弱性が放置された場合、経済のさらなる不安定化を招くおそれがある。

 

一方で、域内経済統合の進展や、海外からの出稼ぎ労働者の国内雇用市場への再統合といった成長機会も存在すると評価されている。

 

IMF理事会は、カンボジアの景気回復が依然として不均一かつ脆弱であるとしたうえで、当面のショックへの対応として迅速な財政措置を講じつつ、中長期的には財政の健全性を回復する必要があると提言した。

 

特に、低所得層や失業者への一時的かつ的確な支援、ならびに積極的な労働市場政策の実施が求められる。

 

金融政策においては、柔軟な対応力を維持しつつ、パンデミック前の準備率への段階的な回帰、リエル建て政策の強化、流動性管理の高度化が推奨された。

 

また、金融部門の改革も急務であり、不良資産の早期認識に向けた猶予措置の段階的廃止、監督体制の強化、ストレステストの拡充、資産の質に関する報告精度の向上、危機管理枠組みの整備、預金保険制度の導入、さらにはマネーロンダリングおよびテロ資金供与対策(AML/CFT)の強化が必要とされている。

 

さらに、持続可能で包摂的な成長の実現に向けては、輸出の多様化、生産性の向上、競争力の強化、そしてガバナンス改革による投資環境の改善が不可欠であると結論づけられた。

 

なお、これに対しカンボジア財務経済省は、2025年の経済成長率を5.2%、2026年を5.0%と見込んでおり、輸出、国内消費、国産品の振興を成長要因として挙げている。

 

 

 

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