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<写真:khmertimeskh.com>
アジア開発銀行(ADB)は、カンボジア経済の2025年における成長率予測を従来の水準から4.9%へと引き下げた。2026年の成長率も同様に5.0%へ下方修正されており、これはタイとの国境摩擦や、主要輸出先である米国市場の不透明感を反映したものである。
ADBが2025年9月に発表した最新版の「アジア経済見通し(ADO)」によれば、カンボジア経済は外部からの圧力にさらされつつも、国内の堅実な経済基盤と進行中の構造改革、さらに的確な財政運営によって安定した成長を維持していると評価された。
物価動向に関しては、年初に6.0%を記録したインフレ率が2025年6月には1.6%まで低下し、今後も2025年および2026年にわたり2.0%前後で推移する見通しである。ガソリン価格および食品価格の下落が、インフレ抑制に大きく寄与した。
産業部門は引き続き経済成長の中核を担っており、2025年前半には縫製品の輸出が前年同期比で22.2%の増加を記録した。これは、米国での関税引き上げリスクに備え、買い手側が発注を前倒しした影響とされる。一方、サービス業は2025年に2.8%、2026年に2.6%と成長の鈍化が予測されている。
観光分野では、中国からの訪問者の増加により回復基調にあるものの、タイ国境における緊張状態が旅行需要に悪影響を及ぼす可能性が懸念されている。農業部門については、年間1.1%の成長が維持される見込みであり、カシューナッツや精米の輸出増が、ゴムやキャッサバの減少分を補っている。
カンボジア王立プノンペン大学のトン・メンダビッド講師は、経済回復の鍵として、競争力ある産業基盤、安定したマクロ経済環境、質の高い労働力、輸出の多様化を挙げた。さらに、インフラ整備、職業訓練の強化、規制改革による外国投資の誘致が不可欠であると指摘した。
民間部門からは、タリアス社のアルノー・ダルクCEOが、2024年の成長率6%から2025年は4〜5%に減速すると予測し、関税負担、国債増加、国境問題が経済に圧力を与えていると分析した。その上で、財政支援については対象を絞りつつ短期的に実施すべきとし、低所得層への現金給付や公共事業の実施を提案した。
金融面では、延滞債権比率が7%を超える高水準にあることが明らかとなり、今後1〜1年半の間に銀行の健全性を確保するための監督枠組み整備や消費者保護の強化が急務であると警告されている。
現在、カンボジア経済は構造転換期にあり、持続的な成長を達成するためには制度の強化と人材育成が不可欠である。とりわけ、デジタル経済の推進、中小企業支援、再生可能エネルギーおよびエコツーリズム分野への投資は、国際社会による支援の主要な焦点となる。
また、ASEANおよびRCEPの経済統合の進展を活かしつつ、グリーン成長および気候変動対応型の投資への転換を進めることが、カンボジアにとって持続的成長への現実的な道筋となる。
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