アメリカ議員ら、ポンペオ国務長官にカンボジアへの経済制裁を要請

アメリカ議員ら、ポンペオ国務長官にカンボジアへの経済制裁を要請
2020年11月20日 15時56分 公開
アメリカ議員ら、ポンペオ国務長官にカンボジアへの経済制裁を要請

<写真:Khmer Times>

 

アメリカの共和党議員8人がポンペオ国務長官に対し、カンボジアにおける人権侵害の深刻化や民主主義の後退を理由に、カンボジアに経済制裁を科すよう強く求めている。19日、クメールタイムズ(電子版)が報じた。

経済制裁を要請しているのはエドワード・マーキー上院議員ら上院議員4人と、テッド・ヨーホー下院議員ら下院議員4人の計8人。
 

ヨーホー下院議員らはカンボジアの政府・軍・治安関係者で、カンボジアの民主主義を損なった者、または人権問題に関わった者に対してアメリカ国内の資産の凍結や、ビザの発給を制限するなどの制裁を課すというカンボジア民主法を提案し、2019年7月15日にこの法案を下院議員が可決していた。

16日付けでポンペオ国務長官に宛てられた共同書簡の中で8人は、2017年に最高裁判所によってカンボジア救国党が解散し、与党であるカンボジア人民党が政権を握って以来、フンセン首相は「政治的多元主義を禁止」しているとして、同国の人権と民主主義の状況が悪化していると述べた。

 

また、ヨーホー下院議員らは野党指導者数十人や政府の批評家が刑事告発や逮捕の標的にされており、新型コロナウイルスのパンデミック発生以来、政府は抑圧的な法律を可決してきたと主張している。

さらに、より多くの反政府派や野党のメンバーを逮捕して反対意見に対する取り締まりを強化してきたと続けた。

これに関して、ヨーホー下院議員らはカンボジア労働組合連合(CCU)のロン・チュン会長、3人の環境活動家、20人以上の野党メンバー、さらには先月曲をリリースした後に逮捕された2人のラッパーのKea SokunさんやLong Putheraさんなどが逮捕されていると強調し、フンセン首相のカンボジアの経済や国境問題への対応を批判している。
 


また、8人の議員らは4月17日に可決された、報道の規制強化や通信傍受などの規制が盛り込まれ、国王だけの発令権を首相にも権限が与えられた非常事態宣言法について、インターネットの制限やオンライン上での表現の自由を規制しようとしていると懸念を示している。

書簡で「アメリカ政府は同盟国と協力し、フンセン首相に野党と言論の自由に対する取り締まりは容認できないという強いメッセージを送る必要がある」と述べている。

8人の議員は、アメリカの大統領選挙で民主党候補のジョー・バイデン氏が次期大統領に当確し、新政権の準備をしているため、この問題は非常に重要であると付け加えた。

 

8人の議員は、ポンペオ国務長官に対し、財務省と協力して、アメリカ政府が人権侵害者と見なす者に資産を凍結し、アメリカの入国を禁止する制裁を加えるグローバルマグニツキー法に基づく制裁を課すよう要請した。

それに加え、逮捕に関与した警察や軍事警察の指導者を含む、自民党の上級指導者にも適切な措置をするよう求めた。

8人の議員はまた、「強い圧力だけがカンボジア政府の行動を変えることができるだろう」と述べ、労働指導者や労働組合の環境が悪化しているため、アメリカ合衆国通商代表部がカンボジアの関税特権の即時見直しを行うことを推奨した。

 

これに対し、カンボジア人権委員会のChin Malin副委員長は、クメールタイムズに対して、8人の議員による呼びかけは元野党指導者との間の特別な関係や好意からのカンボジアに対する個人的な見解にすぎないと応えた。

Malin副委員長は、カンボジアはアメリカ政府と協力しており、アメリカ政府が国連憲章、主権の相互尊重、内政不干渉を含む国家間関係に関する国際原則を遵守することを望んでいると続けた。

「議員は、自分の好みで自由に発言することができる。アメリカの8人の議員がカンボジアの人権と民主主義の状況について言及しているのは、政府の反対派が自身の犯罪を擁護するためにした言い訳と同様であり、カンボジアの現実は反映されていない」と付け加えた。

Malin副委員長は、現在のトランプ政権でも次期バイデン政権でも、国際法に基づいて正しい決定を下すようアメリカ政府に求めたという。

 

16日、人権擁護活動家の状況に関する国連特別報告者であるメアリー・ローラー氏も、カンボジアの市民社会に対する規制の強化について懸念を表明し、過度な権力行使による人権擁護家の組織的な拘留と犯罪化の即時終了を求めた。

しかし、カンボジア人権委員会はローラー氏の報告を、カンボジアの人権擁護家の状況を評価するための十分かつ包括的な根拠がないとして却下している。
 

 

[© poste-kh.com 2016-2024 All Rights Reserved.]
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。

ホットニュース

Choose Classified categories