フンセン首相の訪中は中国寄りに戻ることを示唆する行動:アナリスト

フンセン首相の訪中は中国寄りに戻ることを示唆する行動:アナリスト
2023年02月08日 16時03分 公開
フンセン首相の訪中は中国寄りに戻ることを示唆する行動:アナリスト

<写真:The Star>

 

フンセン首相が9〜11日に中国を公式訪問することを受け、海外のアナリストらは今回の訪中が高速鉄道プロジェクト等の開発プロジェクトに対する財政支援要請以外に、西側の制裁に備えた支援確保が目的であると分析している。

 

また、中国はカンボジアがアメリカや日本との関係を深めていることを懸念しており、こうした懸念を和らげることも目的であるという。

 

カンボジアはプノンペンとシアヌークビル州、タイとの国境を結ぶ鉄道2路線を高速化する計画を立てている。

 

スウェーデンのルンド大学東・東南アジア研究センターのAstrid Noren-Nilsson氏によると、10月に開通したシアヌークビル〜プノンペン高速道路の成功は、インフラ開発がカンボジア政府のイメージと人気に良い影響を与えることを示している。

 

このことから、現在進行中のプロジェクトはカンボジア政府にとって最も重要なものとなっているという。

 

外交問題に関するデジタル解説・分析フォーラム「The Thinker Cambodia」の共同設立者であるBunna Vann氏によると、フンセン首相は7月のカンボジア総選挙前にも訪中を予定している。

 

フンセン首相が野党議員や活動家等の反体制派への弾圧を強めていることに対し、欧米をはじめとする西側諸国が政権に深刻な制裁を加える場合、同首相は中国から政治的保証を求める可能性が高い。

 

また、Vann氏によると、王国軍副司令官兼陸軍司令官を務める息子のフン・マネット氏へのスムーズな政治移行のためには、中国から大きな政治的支援が必要になる。

 

12月にフンセン首相はパトリック・マーフィー駐カンボジア大使と会談し、地元メディアからは「珍しい動き」と評価されていたが、カンボジアがアメリカとの関係修復に努めていることを考えると、今回の訪中は中国の懸念に対処し「カンボジアを中国寄りの立場に戻す」ことが見込まれている。

 

豪州国立大学国家安全保障カレッジの博士課程に在籍するAbdul Rahman Yaacob氏によると、フンセン首相とマーフィー氏の会談は、中国がカンボジアの期待通りの経済的利益をもたらさない場合に他の選択肢があることを示しており、中国にいくつかの懸念を引き起こした可能性がある。

 

また、カンボジアは軍事物資の供給や海軍基地の近代化といった防衛面で中国に依存しているが、これは中国に軍事的に近づいていることを意味しない。

 

カンボジアの軍関係者は、隣国のベトナムが中国と領土問題を抱えていることを考えると、中国との軍事的関係緊密化に慎重である必要性を理解しているという。

 

リアム海軍基地の改修に関するアメリカとの話し合いで、カンボジアは中国の具体的な提案に反対しており、Yaacob氏はカンボジアがより幅広い外国の安全保障パートナーを持つことを望んでいると指摘した。

 

Noren-Nilsson氏によると、カンボジアは日本との関係を強化し、ロシア・ウクライナ戦争に対して中国とは異なるスタンスを取ることで、外交政策をさらに多様化している。

 

今回の訪中はカンボジアが中国に対して、「鉄壁の友情」を壊すものではないと示唆するものであると見られている。

 

 

 

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