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<写真:Khmer Times>
カンボジア国立銀行(NBC)の半期報告書によると、同国の銀行が2023年上半期に発表した融資総額は前年同期比11.9%増の458億ドル(約6兆5900億円)で、このうち住宅ローンが14.5%を占め、17.5%増の約66億4000万ドル(約9553億6300万円)に急増した。
銀行による住宅ローンは上半期に銀行が提供したローン総額に占める割合が22.2%増加した製造業向けローンに次いで2番目に急成長しているが、製造業部門が占める割合は住宅ローンに比べて4.3%と小さく、個人向けローンは0.9%と最も伸び悩む状態である。
住宅価格指数(RPPI)によると、居住者の価格はプノンペンで6.9%、地方で5.3%と顕著な変化はないが、不動産部門の民間企業によって開発されたツインやシングルヴィラといった住宅の販売は、上半期に約64.7%減少している。
カンボジアの建設・不動産部門は緩やかなペースで回復しており、これは外国からの投資流入の増加に支えられている。カンボジアにおける上半期のコンドミニアム販売件数は前年同期比で12.9%増加したが、建設プロジェクト数は約2000件から約1800件へと10%近く減少した。
アクレダ銀行によると、カンボジアの銀行が発表した住宅ローンの17.5%増は「世界的な景気後退の影響を受けて需要が減少しているが、不動産部門のデベロッパーが供給する住宅を購入するための信用需要がまだ残っている」ことを反映している。
また、NBCは不動産部門の住宅販売が著しく減少しているというデータを作成するために使用した情報とは異なる情報で住宅ローンの増加に関する報告書のデータを作成した可能性が高いため、この数字は互いに無関係であるように見えるという。
現在のような状況になる以前、不動産部門の需要が高かった際に銀行や金融機関からの融資を利用して住宅を購入した人の他に、融資を利用せずに他の資金源から得た資金を利用した人も存在した。そのため、住宅の売れ行きが下落したとは言え、銀行や金融機関の融資が減るわけではないという。
外資系不動産サービス会社CBREカンボジアは、不動産部門の住宅販売減少の60%以上は非常に大きな数字であり、同部門がうまく回復していないことを反映しているが、消費目的ではなく投資目的で住宅やその他種類の不動産を購入する人もいると指摘した。
銀行や金融機関が課す金利の上昇も不動産部門に貸し出される住宅ローンの需要を弱める一因となっており、その結果、住宅ローンがある程度のペースで増加しているにもかかわらず、2023年上半期の住宅販売は著しく減少している。銀行の側面から見ると2つの指標は互いに逆方向に動いているという。
先月初旬に銀行家やノンバンクのサービスプロバイダーである国内外の参加者が出席した金融安定報告書(FSR)2022の発表式典でNBCのChea Serey副総裁は「カンボジアの不動産部門は過去10年間で劇的に成長したが、中国の不動産危機が長引いたことで同部門への投資流入が阻害されている」と述べた。
この先、住宅などの不動産部門の需要が鈍化する可能性があり、同部門への融資を慎重に監視する必要があるという。
世界的な経済リスクが懸念される中、経済財務省(MEF)によると、建設・不動産はカンボジアで優先的に支援すべき部門の1つであり、同国政府は税金導入の延期等に関するいくつかの支援策を発表している。
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