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<写真:Khmer Times>
第二次世界大戦以降、米ドルが世界経済を支配してきたが、その影響力は徐々に弱まっており、これがBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)という貿易ブロック台頭の一因となっている。
BRICSは加盟国間の貿易を促進するため、独自の通貨交換プラットフォームの構築を目指しており、近年さらに勢力を拡大している。
BRICSの台頭は特にグローバル・サウス(南半球の新興国)の経済にとって、西側の市場や通貨に依存せず、経済主権や社会経済的発展を追求する新たな機会を提供するものとされる。
カンボジアは現時点でBRICSへの参加やオブザーバーの地位を表明していない。しかし、多くの専門家がこの動きはカンボジア経済にも短期、中期、長期的に大きな影響を与える可能性があると指摘している。
BRICSは2024年にエジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)といった中東諸国が新たに加盟することで、10カ国に拡大する。
BRICS諸国は全世界の人口の約45%を占め、総GDPの約28%を占めている。この拡大によってBRICSは今後も加盟国間の貿易や投資、開発のポテンシャルを強化し、グローバルな影響力を一層高める可能性が高い。
BRICSは西側主導のドルベースの国際金融システムからの脱却を目指しており、メンバー間の貿易を独自の通貨で行うことを模索している。
特に、アメリカ連邦準備制度(FRB)の金利政策がドルを基軸通貨とする国々に悪影響を与えているため、BRICSはドル依存から脱却するための取り組みを進めている。
カンボジア王立学術院の国際関係研究所長であるキン・ペア氏によると、BRICSはカンボジアにとって重要な選択肢であり、同国は将来的に加盟を検討すべきである。
同氏はBRICSがグローバル・サウス経済の中核であり、G7に代わるオプションとなり得ると指摘する。また、BRICSはカンボジアの「脱ドル化」への道を提供する可能性があり、長期的には世界経済のバランスが重要であるという。
しかし、Nexus Capital & Investment Advisoryの創設者であるシサヴタラ・シム氏によると、カンボジアが短期的にBRICSに加盟する可能性は低い。
同氏はカンボジアが人口規模や経済力で他のBRICS加盟国と比較して小規模であり、現時点でBRICSに参加しても、その貿易や投資への影響は限定的であると指摘する。
また、同氏はカンボジアがASEANや中国との自由貿易協定(FTA)を活用しているが、これらの既存の協定を十分に活用しきれていない現状があると強調している。
特に、中国との貿易関係は発展途上にあり、カンボジアの生産能力や物流インフラの強化が必要とされる。
カンボジアは経済のドル化が進行しており、貿易の約90%がドル建てで行われている。また、カンボジアは西側市場への輸出に大きく依存しており、BRICSへの短期的な加盟は西側との貿易に悪影響を与える可能性がある。
同氏によると、カンボジア国内の雇用の大部分は西側市場への輸出に依存しているため、BRICSへの急速な接近は経済バランスを崩す可能性がある。
カンボジアはBRICSに加盟する前に、まずは既存の貿易協定を最大限に活用し、経済を多様化させなければならない。
物流インフラや公共サービスの向上、投資環境の整備などが進めば、将来的にはBRICSがカンボジアにとって有益な選択肢となる可能性がある。
カンボジアにとってBRICSは長期的に重要な選択肢となり得るが、現時点では西側市場とのバランスを保つことが経済的に重要となっている。
今後、カンボジアが経済を多様化し、独立性を高めた時点でBRICSへの参加を検討する余地が生まれる可能性がある。
しかし、現状では西側との強固な貿易関係を維持しながら、BRICSとの関係を慎重に模索する必要がある。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。