カンボジアとタイ、包括的停戦に合意

カンボジアとタイ、包括的停戦に合意
2025年08月11日(月)00時00分 公開
カンボジアとタイ、包括的停戦に合意

<写真:Khmer Times>

 

カンボジアとタイは、国境地帯で発生した軍事衝突を受け、マレーシア・クアラルンプールで開催された臨時国境委員会(GBC)会合において、包括的な停戦および監視メカニズムの構築に合意した。両国の国防関係者は、マレーシア、米国、中国のオブザーバーの立ち会いのもと、緊張緩和に向けた具体策を協議した。

 

この停戦合意は、7月28日にマレーシアのプトラジャヤにおいて締結されたものであり、カンボジアのフン・マネット首相とタイのプムタム・ウェチャヤチャイ暫定首相が署名し、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相が立ち会った。合意文書には、兵力の凍結、挑発行為の自粛、軍事施設の新設・改修の禁止といった措置が明記されている。

 

両国はまた、意図的または偶発的な衝突が発生した場合には、既存の二国間メカニズムを通じて即時協議を行うことで一致した。捕虜の人道的扱いについても、ジュネーブ条約に基づき、戦闘終結後に速やかに送還する方針が確認された。

 

会合ではそのほか、兵士間の直接通信の強化、戦死者の尊厳ある送還手続き、偽情報の抑制、地元レベルでの調整継続など、多岐にわたる措置が決定された。停戦履行の監視体制としては、マレーシア主導によるASEAN監視団の設置が計画されており、その準備段階として、ASEAN加盟国の防衛駐在官による暫定的な観察チームが編成される。

 

次回のGBC会合は8月中に開催される予定であり、必要に応じて緊急会合の開催も検討されている。

 

カンボジアのティア・セイハ副首相兼国防相は「今回の合意は命を救い、信頼と平常の回復に資する重要な一歩である」と述べ、米中両国のオブザーバー参加に対して謝意を表明した。フン・マネット首相も「国境の平和と安定維持に向けた前進である」と強調し、タイ側に拘束中のカンボジア兵18人の即時解放を求めた。

 

同時期にセイハ国防相は、マレーシア軍のニザム司令官、米インド太平洋軍のジョン・パパロ司令官、さらには米国大使と個別に会談を実施した。米国は停戦監視体制構築に向けた技術・物資支援を約束し、マレーシアはASEAN監視チームの設立支援を表明した。

 

カンボジア国際関係研究所のキン・ピア所長は「第三者による中立的監視こそが停戦枠組みの有効性を左右する」と指摘し、国民およびメディアに対して、ナショナリズム的な言動の自制を呼びかけた。

 

一方、ドキュメンテーションセンター・オブ・カンボジアのユク・チャン所長は、長期的な地域安定のためには、米国との戦略的関係の強化が不可欠であると述べた。

 

 

 

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