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<写真:khmertimeskh.com>
カンボジア経済は2026年、実質成長率が4%に減速する見通しである。この成長鈍化は、一時的な外的ショックと長期的な構造的課題が重なったものであり、経済の潜在的成長力自体が低下したわけではないとの見方が示されている。
政府・民間合同フォーラム(作業部会D)の共同議長を務めるタリアス・グループ会長兼CEOのアルノー・ダルク氏は、成長減速の要因として、2025年に発生したタイ国境の閉鎖を挙げた。
これにより、出稼ぎ労働者からの送金(年間約15億ドル)が大幅に減少し、一部農村地域では家計収入の最大3割が失われたという。また、国境貿易は97%減少し、隣国からの観光客も40%減少するなど、複数の分野に深刻な影響が及んだ。
構造的な課題としては、依然として300万人以上が農業に従事しているものの、産業構造の高度化が進まず、同部門の生産性がASEAN域内平均を下回っている点が挙げられる。
また、初等教育段階での学力不足や技能訓練の遅れが、質の高い外国直接投資(FDI)の誘致を妨げている。
産業競争力の観点では、電力料金(1kWhあたり13.7セント)がベトナムやタイと比較して高く、生産コストの上昇が生産性の伸びに追いついていない。さらに、対中依存度の高さも経済的リスクの一つであり、中国経済の減速がカンボジア経済に与える影響は無視できない。
労働市場においては、全体の約8割がインフォーマル就労に従事しており、これが生産性の向上や税収確保、技術移転の面で障害となっている。制度面でも、規制の実施や税関手続きの一貫性の欠如が指摘されており、投資家の信頼を損なう要因となっている。
金融面では、民間信用残高がGDP比で110%を超え、アジア新興国の中でも高水準にある。不良債権比率は7.9%に達し、特に不動産・建設分野でのリスクが顕在化している。
一方、観光業は依然として未開拓の成長分野である。ダルク氏は、観光地の管理体制の改善や観光資源の多様化を通じて、収益性を高める必要があると提言している。
同氏は2027年から2030年までの成長シナリオを三段階に分類しており、エネルギーコストの低減、物流インフラの整備、企業の公式経済化が進めば、成長率は最大6%に達する可能性があるとする。一方で、改革の停滞や国境問題の長期化が続けば、成長率は3.5%まで低下するリスクがあると警告している。
国際通貨基金(IMF)は2025年11月に第4条協議を終え、カンボジア経済は2024年に6%の成長を遂げたものの、2025年は4.8%、2026年は4%へと減速すると予測している。
特に貿易障害や信用収縮の影響が第2四半期以降に顕著となっているとし、民間債務の過剰および金融システムの脆弱性に対する懸念を示している。IMFは財政政策と金融政策の連携、ならびに構造改革の加速を強く求めている。
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