最低賃金引き上げ法案が2年を経て可決、最低賃金170ドルへ

最低賃金引き上げ法案が2年を経て可決、最低賃金170ドルへ
2018年06月07日 00時00分 公開
最低賃金引き上げ法案が2年を経て可決、最低賃金170ドルへ


7日、カンボジア国民議会で最低賃金に関する法案が可決した。今回の法案でカンボジア国内にいる織物産業に従事する労働者78万人の生活水準向上が期待されている。

今回の33の条項を含む法案は100人以上の議会議員に賛成され、可決に至った。新しい法案でカンボジア国内に雇用を生み出し、労働者の仕事の生産性向上や投資の機会の増加が期待される。

カンボジア人民党(Cambodian People's Party)に所属するPen Panha議員は「最低賃金は国民の生活水準とカンボジアの経済発展度合いを見たうえで決定する」と述べた。

Ith Samheng労働大臣は「カンボジア政府はこれまで一貫して衣服労働者の労働環境に気を配ってきた。1997年当時の最低賃金は月40ドルだったが、2018年には月170ドルにまで上昇した。今回の法案はカンボジア国内で働く、衣服労働者や履物を製造する工場労働者を含む全労働者に適用されることになる。法案の可決には2年かかったが、我々の努力がようやく実を結び、非常に満足している」

この法案は5月25日にカンボジア閣僚評議会大臣に承認され、5月31日にカンボジア国民議会法律委員会で議論された。

カンボジアフンシンペック党のSam Vuthy議会議員は「今回の法案で労働者の賃金は上昇することになるだろう。その結果、地方工場の労働者が増加し、近隣諸国への出稼ぎ労働者は減少する見込みだ。国民が遠くまで足を運ばずに近所の工場で働くことができれば、カンボジア王国としても喜ばしいことだ」と述べた。

同氏は「これまでカンボジア国内ではカンダル州、コンポンスプー州、コンポンチュナン州、シアヌークビル州、スヴァイリエン州、プレイベン州、コンポンチャム州、バンテイメンチェイ州などで工場が建設されてきた」と語る。

また、同氏は「業務時間内の事故や急病などは労災認定を受けられるようになり、保険が適用され、治療も受けることができる見込みだ」と続けた。

カンボジアの労働環境改善を推進する関係各機関は今回の法案の可決を歓迎している。衣料品製造協会(GMA=Garment Manufacturers Association)のKaing Monika事務次官は「今回の法案が可決されたことで、最低賃金を明確な基準をもって決められるようになる。そのため、今後、労働者は雇用主と賃金交渉をしやすくなる」と述べた。

同氏は「今回の法案は衣料品や履物の生産に従事する労働者だけに適用されるが、今後は幅広い業種で適用されるべきだ。また、今後は衣料品や履物の生産工場の雇用主は法を遵守し、明確な基準や仕組みを作って最低賃金を設定する必要がある」と続けた。

出典:KhmerTimes

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