カンボジア労働者福利、状況改善か

カンボジア労働者福利、状況改善か
2018年12月07日 00時00分 公開
カンボジア労働者福利、状況改善か

<トラックの荷台に乗ってプノンペンMeanchey区にある縫製工場へ通勤する労働者ら(写真提供:Pha Lina)>

 

国際労働機関ILOが12月4日(火)に発表した報告書によると、カンボジアの縫製業や工場の労働者の福利は着実に改善されているが、安全衛生問題への懸念は残ったままであるという。

 

ILOのカンボジア工場改善プログラム(=BFC)では、2017年5月1日〜2018年6月30日の間に、国内の464箇所の工場の労働環境を査定した。

 

発展の著しい地域では児童労働者が働いており、同報告書によると2013年5月〜2014年4月の間に未成年者が働いていると報告があった件数は74件だった一方で、2017年5月1日〜2018年6月30日の間の報告件数は10件と未成年労働者数は急激に減少しているという。

 

「報告があった10件の児童労働者は全員15歳以下の少女である」

 

「4件はカンボジア縫製業者協会(GMAC)もしくはカンボジア工場改善プログラムで承認されており、児童は職業教育訓練所で働いている」と報告書に記されている。

 

しかし、収入が必要な親はカンボジアにおける児童労働を奨励し、中途退学した未成年児童を工場で働かせている。中には、未成年の子供の身分証明書を偽造し、成人として働かせる親もいるという。

 

児童労働者を雇用していると非難されている工場は、偽造された身分証明書を提出されるので工場側も被害者であると主張している。

 

「子供達の中には未成年に見えない子もいる。我々が詳しい調査をして初めて未成年者であることを知る。そういう意味で、我々もまた被害者なのである。実際に、法を犯して未成年者を雇用するほど人手に困っているわけではない」と縫製工場のマネージャーは語った。

 

労働と人権同盟(=Central)プログラムのコーディネーターであるKhun Tharo氏によると、児童労働件数の減少は前進と捉えているが、カンボジアの産業では一般的に行われている児童労働には未だに報告されていないものが数多くあるかもしれないと疑っているという。

 

「縫製業や履物製造業には地方で貧しい生活を送る女性労働者が集中している」

 

「私にとって報告書の内容は驚くべきことではない。私はまだ報告されていない児童労働がたくさんあると思っている。工場のマネージャーらは労働職業訓練省やILOなどが立ち入り調査に入る直前に都合の悪い情報を隠蔽している」と同氏は述べた。

 

改善の余地があると報告された地域には、安全衛生面に問題があった。報告書によると、93%の工場(433箇所)は十分な照明もなく、85%の工場(394箇所)には保健所もないという。

 

「工場の多くは診療所が併設されているが、看護師や医師が常駐している工場はほとんどない。また、ベッドの数も不足しており、必要な医薬品の在庫も十分とは言えない」と報告されている。

 

衛生安全に関する問題はTharo氏の懸念事項でもある。Centralはカンボジアの工場では極度に高い室温や換気不足、低賃金による栄養失調が原因で労働者が気絶するという報告を定期的に受けていると同氏は述べた。

 

調査結果によると、こういった懸念があるにも関わらず、カンボジアの工場における21個の重大な問題に関する違反総数は2014年の811件から631件にまで減少しているだけでなく、公に問題を発表している工場の割合は32%から41%まで増加しているという。

 

出典:The Phnom Penh Post

 

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