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<写真:The Guardian>
フンセン首相は12日夜、トルコの救援活動に関連して誤った情報を伝えて息子を中傷したとして、情報省にカンボジア最後の独立系地元メディアの1つである「Voice of Democracy(VOD)」の閉鎖を命じた。
首相の公式Facebookページに掲載された声明によると、VODは13日午前10時から出版や放送のライセンスが無効となる。
また、首相は「プノンペン警察に秩序を保つよう命じたが、財産の差し押さえは行わない。VODに出資した外国人は資金を取り戻し、従業員は新しい仕事を探すべきである」と述べている。
VODは8日、カンボジアのトルコ地震支援に関する記事を掲載し、「首相の息子で首相後継者とされるフン・マネット氏が支援協定に署名した」と報じていた。
これに対し、フンセン首相は「首相だけが対外支援に関する決定を下す権限を持っている」と述べ、事実ではないと否定した。
今年で首相在任期間が38年目となるフンセン首相は、世界で最も長く政権を維持している首相の1人であり、政敵である野党議員の投獄や追放、反体制派のメディア閉鎖などで市民の反対意見を弾圧してきたという。
VODを運営するNGO「カンボジア独立メディアセンター(CCIM)」はフンセン内閣に書簡を送り、混乱を招いたことを謝罪するとともに、Phay Siphan報道官の言葉を引用したとして説明したが、フンセン首相は今回の件を容認できないとしている。
ロイターが同報道官とCCIMのメディア・ディレクターにコメントを求めたが、回答は得られていない。
ヒューマン・ライツ・ウォッチの副アジアディレクターであるフィル・ロバートソン氏によると、カンボジア政府はVODの報道を好んでおらず、フンセン首相の独立系メディアに対する権威主義的な態度を考えると、VODは現在まで奇跡的に生き延びていた可能性が高い。
「トルコ支援の署名者に関する誤報」をVODの閉鎖理由にすることは正当ではなく、カンボジア政府がメディアの自由を更に抑圧するという意図が見え隠れしていると指摘した。
カンボジアでは2018年7月の国民議会選挙で与党が敗北する懸念から、2017年に約30のラジオ局と英語とクメール語による偏向のない報道を行なっていた大手新聞社「カンボジア・デイリー紙」を閉鎖していた。
次の総選挙は今年7月23日に実施される予定である。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。