人身売買ブラックリストからの脱却、米国がカンボジアを支援

人身売買ブラックリストからの脱却、米国がカンボジアを支援
2023年09月13日 15時08分 公開
人身売買ブラックリストからの脱却、米国がカンボジアを支援

<写真:Khmer Times>

 

パトリック・マーフィー駐カンボジア米国大使は、新政権下のカンボジアが人身売買と効果的に対峙し、米国の人身売買犯罪関連ブラックリストからの除外を求める米国の取り組みを明らかにした。

 

同大使は両国の関係や政治的違い、様々な分野での更なる協力についても言及している。

 

2021年にクーメールタイムズが労働者を拘束していた中国人組織の調査を開始した後、カンボジアにおける人身売買が注目されるようになり、更なる調査で同国が犯罪の温床としての評価が高まっていることが示された。

 

現在問題となっているのは、シンジケートが関与する強制労働の雇用詐欺である。

 

これらのシンジケートは外国人が主導し、異なる国からの労働者を誘い込み、オンラインギャンブルや詐欺を行うコールセンターで働かせることを企図している。

 

米国はカンボジアを2年連続で人身売買報告書に最低ランク(Tier 3)として掲載した。

 

この分類はカンボジアが人身売買撲滅の基準を満たしておらず、人身売買防止の取り組みが不十分であることを示している。

 

インタビューでマーフィー大使は、人身売買問題についての認識を深めるために、国際的な視点が必要であることを指摘するとともに、米国の評価は米国政府だけではなく、国連機関や市民社会、信頼性の高い非政府組織の見解に基づいていることを説明した。

 

また、同大使はカンボジアにおける人身売買問題の解決に向け、政治的意思と法の執行力強化の2つの要素を強調している。

 

最近の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報告によれば、カンボジアでは約10万人が違法賭博や暗号詐欺などで働かされているという。

 

これに対して、マーフィー大使は実際の被害者数に関する正確な数字を持っていないものの、カンボジアには数千〜数万の人身売買被害者がいることを指摘した。

 

また、米国がカンボジアを支援するための取り組みについて「私たちは協力的に働きたい。それがカンボジア、この地域、そして世界の全ての人々のためになる」と述べた。

 

来週に在カンボジア米国特使として4年目を迎える同大使は、2022年11月のASEANサミットや2023年初めのSEA Games、ASEAN Para Gamesの歴史的な開催など、在任期間中に多くの出来事を目撃している。

 

同大使は「ASEAN首脳会議にはジョー・バイデン大統領を招聘できた。2023年にカンボジアが示したリーダーシップは、地域や世界での重要な原則に繋がるものである」と語った。

 

また、ワシントンでの勤務や15年以上にわたるカンボジアとの繋がりを持つ外交官として、「奇跡」と称されるカンボジアの経済発展に深く感銘を受けているという。

 

同大使は「過去数年でのカンボジアの進展は著しく、経済の大きな成長や拡張を目にしてきた。現在のカンボジアと30年前や15年前のカンボジアを比較すると、変化の大きさが伺える。カンボジア国民は様々な機会を掴んでおり、生活の質の向上や健康状態の改善、貧困の削減を実感している。米国はこれらの成果の実現を支援する誇り高き協力者である」と語った。

 

米国はカンボジアの主要な輸出先として位置づけられ、輸出総額の40%以上を占めている。

 

しかし、マーフィー大使は特に農業や教育などのセクターで、更なる米国の投資家がカンボジアに参入することを期待する。

 

同大使によると、国際的な標準を遵守する米国人投資家の更なる誘致に向け、カンボジア政府は労働者の権利や条件の向上、法治の強化、インフラの充実、公共料金の見直し、汚職撲滅の取り組みを強化する必要がある。

 

フン・マネット首相が率いる新政府が発足して以来、同大使はソック・チェンダ・ソフィア外務国際協力大臣をはじめとする多くの高官と会談を重ねてきた。

 

同大使はこれは単なる形式的な会談ではなく、両国間の協力や違い、双方が地域や世界でどのように貢献できるかについて議論したことを明らかにしている。

 

また、両国間には協力の余地が多く存在しているとし、政治的な違いも指摘した。

 

同大使によると、カンボジアが軍事的なパートナーシップを築く際、多様性を保ちながら国の主権や独立を守るべきであり、こうした取り組みは二国間関係を強化するだけではなく、カンボジアの利益にも繋がる。

 

 

 

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