タイ軍の停戦合意違反、領地侵入で人道問題が深刻化

タイ軍の停戦合意違反、領地侵入で人道問題が深刻化
2025年08月19日(火)00時00分 公開
タイ軍の停戦合意違反、領地侵入で人道問題が深刻化

<写真:khmertimeskh.com>

 

カンボジア北西部のバンテアイメンチェイ州において、7月28日にマレーシアで合意されたカンボジア・タイ間の停戦協定に反し、タイ軍が12日から14日にかけて複数の村に侵入する事案が発生した。

 

これにより現地住民の住宅および農地が接収され、多くの人々が住居を追われる深刻な人道問題が表面化している。

 

タイ軍は12日にオーチュロウ郡チョークチェイ村へ侵入し、翌13日にはプレイチャン村でも同様の行動を展開した。

 

現地住民には30分以内の退去が命じられ、妊婦や障害者を含む多数の家族が避難を余儀なくされた。

 

さらに14日にはボーントラコン国境検問所付近でも侵入が試みられたが、カンボジア軍および住民の強い抗議により、これ以上の進行は阻止された。

 

カンボジア国家国境問題事務局の報告によれば、タイ軍は国境標識No.42〜43およびNo.46〜47間の未確定区域に対し、バリケードや有刺鉄線を設置した。

 

これに対しカンボジア政府は、国際的な枠組みの下での停戦合意を踏みにじる「一方的な領土侵害」であるとして、正式な抗議を表明した。

 

現地には地雷の危険も残されており、情報省官房副長官リム・チェイトア氏は「タイ側はカンボジアによる地雷設置を非難しているが、当国は国連と連携して継続的な地雷除去活動を実施している」と述べ、タイ側の批判に反論した。

 

一方、マレーシアを中心とするASEAN臨時監視団(IOT)が現地に派遣され、国境の緊張状況を視察した。

 

同監視団には、マレーシア、ブルネイ、インドネシアなどASEAN加盟国の防衛駐在官が参加している。

 

こうした緊張の中、タイとカンボジアは8月17日にタイ・トラート県で開かれた地域国境委員会(RBC)臨時会合において、すべての問題を平和的に解決するとの基本方針を再確認し、軍部および国境部隊間の連絡体制強化に合意した。

 

両国間では現在、国境の正式な画定作業が進行中であり、地雷除去作業の着実な実施には停戦合意の完全履行および現状の安定が不可欠とされている。

 

今後の具体的な取り決めについては、一般国境委員会(GBC)で議論される予定である。

 

 

 

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