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<写真:Khmer Times>
2029年に予定されているカンボジアの後発開発途上国(LDC)卒業は、同国にとって経済的自立を象徴する重要な転換点となる。
フン・マネット首相が掲げる「自立国家」のビジョンは国内外から称賛されており、政府内でも強い支持を得ている。
一方で、LDC卒業に伴う貿易特恵の喪失や公式開発援助の減少など、多くの課題が予想されており、これらの困難を克服するため、カンボジアは新たな経済戦略と競争力の向上に注力している。
国連総会は2024年にカンボジアが2029年にLDCを卒業することを決議した。
この卒業は経済的成熟を示す一方で、アメリカやEUなど主要市場から提供されていた特恵関税が失われることで、同国の貿易に大きな影響を及ぼす可能性がある。
経済・財務大臣であるアウン・ポンモニロット副首相は、特恵の喪失と緩和された融資条件の縮小が最大の課題になると指摘している。
ただし、平和や政治的安定、強固なマクロ経済基盤を背景に、カンボジアは着実な発展を遂げているとも強調している。
LDC卒業後、カンボジアは主要市場における競争力低下のリスクに直面する。
この課題に対応するため、商業大臣のチョム・ニムル氏は、地域およびグローバルなバリューチェーンへの参画を強化し、競争力を高める必要があると述べている。
政府の「五角戦略(PentagonalStrategy)」の一環として、次の施策が進められている。
- ASEAN自由貿易協定(FTA)や地域包括的経済連携(RCEP)を活用した輸出市場の多様化
- デジタルビジネスの促進と国内製品の開発による輸出支援
- 貿易関連法や政策の整備強化
- 主要産業の発展計画の実施(例:靴・革製品産業の2022–2027年戦略)
経済成長率は2025年に6%を超える見通しであり、2024年の国際貿易総額は500億ドルを超えた。
主要輸出品である衣料品、旅行用品、履物、米はそれぞれ二桁成長を記録している。
しかし、LDC卒業後には年間16万5000人の雇用喪失リスクや貧困層の増加が懸念されている。
これを回避するためには、政策実行力の強化と経済の独立性向上が求められている。
LDC卒業は単なる経済的成長の証ではなく、持続可能な発展と経済的自立への新たなスタート地点とされる。
国連開発計画(UNDP)のアリサー・チャケール常駐代表は、LDC卒業をカンボジアの発展の象徴と位置づけ、同機関が今後も経済多様化やグリーン経済の推進を支援していく方針を示している。
計画大臣のビン・チョロアチェイ氏も、卒業後の移行を支える「スムーズ・トランジション戦略」を策定することを表明した。
この戦略は「五角戦略」と連動し、人材育成、貿易市場の拡大、科学技術の推進、社会保障制度の強化を重点課題としている。
カンボジアはLDC卒業を機に直面する課題を乗り越え、経済成長と国際的地位の向上を実現する可能性を秘めている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。