29年の後発開発途上国卒業、国連が決議採択

29年の後発開発途上国卒業、国連が決議採択
2024年12月25日(水)00時00分 公開
29年の後発開発途上国卒業、国連が決議採択

<写真:Khmer Times>

 

国連総会は19日にカンボジアとセネガルの「後発開発途上国(LDC)」からの卒業を2029年とする決議案を採択した。

 

当初予定されていた2027年から卒業時期が延長され、通常3年間の移行期間に加え、特例としてさらに2年間の準備期間が与えられることとなった。

 

これにより、両国は卒業後のスムーズな移行を目指して万全の準備を進める機会が確保された。

 

カンボジアのLDC卒業は、国連開発政策委員会(CDP)が定める基準を満たした結果である。

 

この基準には、一人当たり国民所得(GNI)、人間資産指数(HAI)、経済・環境脆弱性指数(EVI)の3つが含まれる。

 

2024年の評価では、カンボジアのGNIが1546ドルと基準値1306ドルを上回り、HAIが77.7で基準値66を超え、EVIも23.3で基準値の32以下を満たしたことが確認された。

 

LDCステータスの卒業は、カンボジアが内戦からの復興と高い経済成長を実現したことを示す重要な成果であるとされる。

 

一方で、LDC特有の貿易特恵やWTO規則の柔軟性が失われるという課題も存在する。

 

LDCステータスの卒業に伴い、カンボジアはEUの「すべて武器以外(EBA)」スキームや特恵関税措置の撤廃に直面する。

 

これにより、多くの輸出品に対して関税が課される可能性がある。

 

例えば、LDC時代には現地付加価値が30%で特恵措置を受けられたが、卒業後は60%が求められることとなり、輸出競争力に影響を与えると見られる。

 

アジア開発銀行(ADB)は、卒業後の課題として迅速な貿易政策改革と新たな貿易パートナーの開拓が必要であると指摘している。

 

特に、EU向け輸出が大きな割合を占めるカンボジア経済では、特恵措置の喪失が輸出パフォーマンスに与える影響を慎重に管理する必要がある。

 

カンボジア政府は、卒業後も貿易競争力を維持するために、EUの「GSPプラス」制度への移行や新たな自由貿易協定(FTA)の締結を模索している。

 

また、国内産業の強化と現地生産の付加価値向上に向けた取り組みも進められている。

 

カンボジア中国商工会議所(CCCA)の副会長であるビチェット・ロー氏は「LDC卒業はカンボジアの経済成長を世界に示す成果である」と評価する一方で、特恵撤廃が中小企業や輸出産業に与える影響について懸念を示した。

 

カンボジアは、2030年までに「上位中所得国」、2050年までに「高所得国」へのステータス移行を目指している。

 

LDC卒業は、その目標に向けた重要なステップであり、経済的自立と国際的地位の向上を象徴する出来事である。

 

一方で、貿易特恵の喪失という課題を克服するためには、政府が持続可能な政策を策定し、民間セクターと連携して競争力を高めることが求められる。

 

LDC卒業は経済成長の新たな機会をもたらすと同時に、厳しい課題を伴う転換点でもある。

 

カンボジアがこれらを乗り越え、長期的な発展を実現できるかどうかが注目されている。

 

 

 

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