国家への背信行為、市民権剝奪が可能に

国家への背信行為、市民権剝奪が可能に
2025年07月07日(月)00時00分 公開
国家への背信行為、市民権剝奪が可能に

<写真:Khmer Times>

 

カンボジア政府は、外国勢力と結託し国家の利益を損なった者に対して市民権を剝奪できるよう、憲法改正を進める方針を正式に表明した。

 

これに伴い、国民議会の全125人の議員と政府は、ノロドム・シハモニ国王に対して憲法改正の要請を行った。

 

現行憲法第33条では「カンボジア国民は市民権を奪われない」と規定されているが、7月3日に行われた憲法評議会の審査において、当該条項の改正は憲法上可能であるとの判断が下された。

 

今回の改正を主導しているのは、元首相で現上院議長のフン・セン氏と、現首相であるフン・マネット氏である。

 

両氏は7月11日に国民議会の臨時会を開催し、同改正案の採決を実施する見通しである。

 

フン・セン氏はプレイヴェン州での会合において、「外国勢力と結託して祖国を破壊しようとする者から市民権を剝奪するのは正当である」と述べ、国外の反政府勢力からの批判に対して断固たる姿勢を示した。

 

また、フン・マネット首相も「世界には150か国以上が国家反逆罪や重大な背信行為に対して市民権剝奪の制度を有している」として、国際的な先例を根拠に改正の正当性を強調している。

 

一方で、弁護士のソク・サムオウン氏は、与党が国民議会を圧倒的多数で占める現状において、この改正が反対勢力の封じ込めに悪用される可能性を懸念している。

 

また、市民権剝奪の実効性については、事実上、他国の国籍を取得した場合に限定されると指摘している。

 

今回の改正案は、タイ国境付近での軍事衝突や、カンボジア政府が国際司法裁判所(ICJ)に国境紛争に関する資料を提出したことを背景に、国外の反政府勢力による批判が強まる中で打ち出されたものである。

 

政府は、今回の憲法改正がカンボジアの主権と国家安全保障を守るための措置であるとの立場を明確にしている。

 

 

 

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