中国の対カンボジア投資、関税圧力下でも拡大継続

中国の対カンボジア投資、関税圧力下でも拡大継続
2025年05月21日(水)00時00分 公開
中国の対カンボジア投資、関税圧力下でも拡大継続

<写真:Khmer Times>

 

カンボジアに対する中国からの直接投資(FDI)が、米国による対カンボジア関税措置にもかかわらず、堅調に増加している。

 

4月2日にトランプ米大統領がカンボジアを含む複数国に対して49%の「相互関税」適用を発表したが、中国企業による投資の勢いは鈍っていない。

 

1月には中国のタイヤ大手「ワンリタイヤ」がスバイリエン州バベットにおいて、同社にとって初の海外工場となる拠点の建設を開始した。

 

総投資額は5億ドルで、年間1000万本の生産能力を予定している。

 

起工式に出席したソン・チャントール副首相兼カンボジア開発評議会(CDC)第1副議長は「今回の進出は中国からの更なる投資の呼び水となる」と述べた。

 

同月中には中国企業によるカンボジア初の石油精製所建設が明らかになった。

 

加えて、中国の電気自動車(EV)メーカーであるBYDも、南西部のシアヌークビル経済特区(SEZ)にて、年1万台規模のEV組立工場の建設を着工した。

 

工場の完成は10月を予定し、初出荷は11月となる見通しである。

 

チャントール副首相は「外国企業による投資の増加は政府の的確なリーダーシップの表れであり、CDCは関連法制度の整備や対外的な情報発信、行政手続きの簡素化を進めている」と述べた。

 

4月単月の外国直接投資案件は59件に上り、総額は8億6000万ドルに達し、そのうち中国による投資が58%以上を占めた。

 

投資案件は経済特区内が27件、特区外が32件であり、SEZは税制優遇などの特典を通じて企業の誘致を図っている。

 

日本貿易振興機構(JETRO)プノンペン事務所の若林耕平所長は「米国の関税強化が懸念される中で、中国企業はむしろカンボジアへの進出を加速させている」と指摘する。

 

さらに、4月には中国の習近平国家主席がカンボジアを公式訪問し、両国間で複数の貿易・投資促進協定が結ばれた。

 

カンボジア王立アカデミーの経済研究者ホン・ヴァナク氏は、同国の地理的な優位性、熟練した労働力、そして投資家にとって魅力的な法制度が、中国からの今後の投資をさらに後押しすると分析している。

 

 

 

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