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<写真:Khmer Times>
米国は2025年8月1日より、カンボジアからの輸入製品に対し36%の関税を課すことを決定した。これは従来の49%からの引き下げではあるが、同国の輸出産業には依然として大きな打撃となる見通しであり、業界関係者の間では厳しい状況が続くとの懸念が広がっている。
米カンボジア間の貿易赤字は約123億ドルに達しており、バランスを取るためには米国からの輸入をおよそ40倍に増加させる必要がある。しかし、これは現実的には困難であると専門家は指摘する。
カンボジア繊維・アパレル・履物・旅行用品協会(TAFTAC)の副会長であるロバート・ファン氏は「今回の措置により輸出は15〜30%の減少が見込まれる。政府にはベトナムと同水準である約20%の関税率を目指し、米国と交渉するよう期待している」と述べた。
また、第三国を経由する迂回輸出については禁止されており、違法行為として取り締まりの対象になることも明らかにされた。
カンボジア中国商会の副会長ロー・ヴィチェット氏は、競争力の評価においては関税率だけではなく、生産効率、インフラ、原材料の調達ルートなど複数の要素を総合的に考慮すべきであると主張している。
同氏はさらに、2025年9月に開港予定のテチョ国際空港を利用した米国製航空機の購入や、建設・農業分野における米国製機械の輸入を通じて、米国との貿易赤字を是正する手段も提案している。
一方、カシューナッツ協会の会長ウオン・シロット氏によれば、同業界は米国への輸出を行っておらず、今回の関税措置による影響は限定的であるという。
米オハイオ大学の研究者ヴィカス・レディ氏は「米国は製造拠点をカンボジアから移転させようとしているが、それは非現実的である。米国は既に低コスト製造拠点を失って久しく、衣料品や電子部品のような労働集約型産業を国内に戻すことは容易ではない」との見解を示している。
現場ではプノンペンの縫製工場で働く労働者の間に将来への不安が広がっており、一部では農業への回帰を模索する動きも見られる。
このような状況の中で、カンボジア政府には米国との交渉を通じた関税引き下げに向け、一層の外交努力が求められている。
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